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債券並みのリスクで円短期金利+6.0%の収益を目指す

NISA(少額投資非課税制度)向けの投資信託として、バランス型ファンドは2013年に大量の新規設定がありました。2014年に入ってその勢いは沈静化しましたが、11月28日に特徴のあるバランス型(複合資産型)ファンドが設定されるのでご紹介しましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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各資産のリスクを均等に保つ(リスク・パリティ)

2014年11月28日にインベスコ・アセット・マネジメントから「インベスコ・プレミアム・プラス・ファンド」、愛称「真分散革命」というバランス型(複合資産型)が新規設定されます。

同ファンドは、日本を含む世界各国の債券、株式、資源資産(コモディティ)を実質的な投資対象とします。債券、株式、資源資産という3つの資産のリスク寄与度を同程度に配分する戦略的配分(リスク・パリティ)を行ったうえで、期待リターンの向上を目的としてその配分を変更する戦術的配分を行います。

戦略的配分=リスク・パリティとは聞き慣れない運用スタイルです。リスク・パリティとは、債券、株式、資源資産のリスクを同一に保つようにそれぞれの資産に投資資金を配分して、基準価額に与える影響を3つの資産が均等になるようにする運用手法です。

従来のバランス型ファンドでは、リスクの低い(価格変動が小さい=債券)資産とリスクの高い資産(価格変動が大きい=株式)資産をそれぞれ金額ベースで均等に資金配分する運用スタイルでした。この運用スタイルでは、リスクの高い、言い換えれば価格変動の大きい資産(株式)の値動きに運用成績が左右されることになります。

ところがリスク・パリティ運用では、リスクの低い資産(価格変動が小さい=債券)への資金配分を多くし、リスクの高い資産(価格変動が大きい=株式)への資金配分を少なくすることで、債券、株式の価格変動が基準価額に与える影響を等しくさせるのです。

海外では良好な運用成績と高い評価

リスク・パリティという運用スタイルでリスクを債券並みに抑えるため、目標リスクは標準偏差で年率8.0%としています(市場環境に合わせて、2.0%程度の調整あり)。標準偏差とは統計値や確率変数の散らばり具合を表す数値で、簡単に言えば資産運用を行った場合の価格変動のフレ幅を表しています。

「インベスコ・プレミアム・プラス・ファンド」では、目標リターンが円の短期金利+6.0%(便宜上6.0%とします)、標準偏差は±8.0%なので、約68.27%の確率で基準価額の騰落率は+14.0%~-2.0%の中に入ることになり、約95.45%の確率で同+22.0%~-10.0%の中に入ることになり、約99.73%の確率で同+30.0%~-18.0%の中に入ることになると予測されるのです。

あくまでも予測値になりますが、債券並みのリスクで安定したリターンの獲得を目指す運用と言えそうです。この運用を行うために、同ファンドは3つの運用プロセスで資産配分を見直して行きます。

ステップ1では、先に述べたリスク・パリティを活用して各資産のリスクが均等になるように資金配分を行います。ステップ2では、目標リスク量=8.0%に近づけるために各資産のポジションを調整。ステップ3では、定量分析に合わせて、インベスコ・アセット・マネジメント独自の運用モデルを用いて各資産のポジションを調整していきます。

具体的には、景気減速期では債券の資産配分を増やし、経済成長期では株式を、インフレ期には資源資産を増やすというポジション調整をします。

新規設定のファンドなので運用実績はありませんが、海外では2008年から約6年の実績があり、2014年6月末の運用資産残高は207億ドル(2.1兆円)となっています。さらに、米国の確定拠出年金(DC)においては「QDIA適格プロダクト」に認定されています。

QDIA適格プロダクトとは、米国の確定拠出年金(DC)において、プラン加入者が拠出金に対して、自ら資産の運用指図を行わなかった場合に、プラン・スポンサーが自動的に運用先として選択してよい初期設定(デフォルト)運用商品のことです。言い換えれば、それだけ信頼されている投資信託なのです。今後の運用成績に注目しましょう。

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