信頼した相手との関係に執着してしまうのはなぜ?

男性に微笑む女性

「私だけを見て」「この子さえいれば」――そんな言葉が口ぐせになっていませんか?

恋人ができるとその人しか見えなくなり、2人だけの世界に執着していく。「私だけを見て」「すぐに会いたい」と強い要求を突きつけているうちに、相手から「重い」といわれ、別れを告げられてしまう……。

結婚すればパートナーとの関係に、子どもができればわが子との関係にのめりこみ、「この人さえいてくれれば」「この子さえいてくれれば」と執着していく。狭いカプセルのなかで家族を束縛していくうちに、いつしか家族の笑顔も健康度も失われていく……。

このように、恋愛や結婚生活、子育てなどを通じて特定の人間関係にはまりこんでしまうと、その執着力によって大切な人の自由を奪い、ついには関係を壊してしまうことがあります。

特定の人間関係に執着しがちになる人は、友だちや上司など、その他の関係においても、同じような付き合い方を繰り返している可能性があります

たとえば、友だちができると「ずっと親友でいてね」と2人だけの友情にこだわる。信頼する上司ができると、その人を親のように慕い「どこまでもついていく」と宣言する、といったパターンです。しかし、特定の人間関係に執着しすぎるとその関係は閉塞的になり、息苦しいものになります。
 

「自己分化」とは? 感情を引きずらず、自立的に行動できているか

以前の記事で「自己分化」という心理学キーワードを紹介したことがありますが、今回のケースも、自己分化への理解は重要なカギとなります。自己分化について詳しく知りたい方は、「ケンカで分かる!カップルと夫婦の心の成熟度」もぜひご参照ください。

自己分化とは、育ってきた家族の影響から心理的に卒業し、自立的に行動できる状態のことです。しっかり自己分化ができている人は、親子関係で満たされなかった感情を引きずらずに成長しているため、自分らしく人生を歩むことができます。

自己分化ができていない人は、「親にもっと愛してもらいたかった」「自分を肯定してほしかった」というように、育ってきた家族との関係に満たされない思いを抱えたままでいるため、大人になっても、「愛されたい」「不安な気持ちを満たしてほしい」という思いが心の底でくすぶり続けています。そのため、パートナーや子どもなどに、その思いをぶつけて相手を束縛してしまうことがあるのです。
 

愛情欲求を第三者にぶつけ、関係を壊してしまう原因は?

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親のことを否定しても、親からいくら離れていても、満たされなかった思いは心の中に残り続ける

育ってきた家族との間で、上のような満たされない思いを抱えたまま成長した人のなかには、過剰に親を否定し、親に会うことを一切やめてしまう方もいます。

しかし、無理やり離れようとしても、家族関係で満たされなかった愛情欲求はそのまま心の中に残り、くすぶりつづけます。

そんな思いを抱えたなかで、パートナーとの出会いがあったり、わが子を授かったりすると、その欲求を彼らにぶつけてしまうことがあります。
 

人間関係に潜む「家族の影響」に気づくことが解決の第一歩

しかし、満たされない感情をぶつけられたパートナーは、自由を奪われ、いつも拘束されている気持ちになり、つらくなってしまいます。あるいは、相手も同じように満たされない思いがあるなら、2人だけの閉塞的な世界に埋没して、互いの自立を阻害してしまうかもしれません。

また、満たされない感情を自分の子どもにぶつけると、子どもは親にとても気を遣い、子どもならではの無邪気な感情の発露を妨げてしまいます。すると、子どもにも同じように家族関係での満たされない思いが生じ、その思いを第三者(パートナーや友達)に満たしてもらおうとする、そんな負の連鎖を繰り返してしまうことがあります。

このように、特定の人間関係の中で執着と束縛が繰り返されている場合、自分の生きてきた歴史を振り返りながら、満たされない思いの原因に気づいていく必要があります。そして、親を否定したまま満たされない思いを抱えていないか、満たされない思いを他者に満たしてもらおうとしていないか、心の軌跡を洞察し、自己理解を深めていくことが必要になります。

大切な人とのほどよい関係を保ちながら、自分らしい自立した人生を歩んでいくためには、こうした気づきのプロセスを経験することが必要になるのです。
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