VW(フォルクスワーゲン)/その他のフォルクスワーゲン車

VW初の電気自動車、e-up!の走りは?(2ページ目)

フォルクスワーゲンがAセグメントのコンパクトカー、up!をベースに仕立てたのが電気自動車のe-up!。2015年にはゴルフEVのe-GOLFも導入するなど、EV戦略を加速させる。その走りっぷりはどうだろうか?

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド


e-up!の乗り心地はガソリン車とどう違う?

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メーターが専用になるなどしているが、ガソリン仕様とほとんど変わらず、ガソリン仕様からの乗り替えでも違和感はあまり覚えないはず。コスト削減への貢献も大きいはずだ


乗り心地は、ガソリンエンジン車よりも明らかに重厚感があり、重い重量物を床下に積んでいるのは明らかだが、これは乗り味の面では悪い方向にあまり作用していない。元々、ガソリンエンジンのup!は、前後バルクヘッドまわりの剛性感が高い反面、フロアがやや弱い印象があったが、バッテリー搭載と補強により上質さが増した印象だ。

もちろん、EV化により圧倒的に静粛性が高まったことにより、心理的に乗り心地も改善された気がするのはあるかもしれない、という面を差し引いても、フロアからの微振動は明らかに抑制されている。

回生ブレーキはD1からD3、最大化されるBと、ほとんど回生しない5段階あるが、Bにすると「回生のみで停車できる」というのも街中で試してみたが、かなりの減速感で後続車の存在が気になるほど。ギクシャクしないようにするには、街中ではD2くらいまでが現実的に思えた。エンブレ代わりに高い頻度で使うなら後述するが、パドルシフトがほしいところ。

230kgものバッテリー搭載により逆に言えば、軽快感が薄まったのも事実。ガソリンのup!は多少ひょこひょこする乗り味でありながらも、フットワークの軽さが美点でもあったからだ。

しかし、ガソリン車を知らなければ分からない程度だし、鈍重でコーナーが苦手というわけでは決してないからご安心を。

気になる居住性、積載性は?

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e-up!のボディ構造。そもそも高電圧バッテリー搭載を前提にup!は企画されていたそうだ


EV化でのデメリットはあまりないが、細かな点ではいくつか感じられる。「居住性を犠牲にしていない」という謳い文句も後席に関しては少し後退している。少し上げ底になった感じがするのとヒール段差も約4cm高くなっていることで、背の低い子どもなどは少し座りにくいかもしれない。

それでも後席には171cmの筆者で10cm近いヘッドクリアランスが確保され、短めの全長でもアップライトな前後席の乗車姿勢で居住空間と、毎日の買い物程度なら実用になる積載性を確保(積載容量はVDA方式でわずか1L減)しているのは立派。

さて、ほかにも回生ブレーキの効き具合は、シフトレバーを左右(Bレンジは下に)に動かすため、現在どの位置に入っているかはメーターを確認しないと分からなくなってしまう。
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慣れれば操作自体は問題ないが、シフトレバーを横に動かすマニュアルモードは最近のガソリン車でも見かけなくなってきただけに、オーナーになるといずれはDレンジに入れっぱなしになりそう


もちろん、ステアリングのパドルスイッチや、シフトレバーでも前後方向へ動かす方式でもメーター表示での確認は欠かせないが、ステアリングのパドルスイッチ方式なら右で加速(回生ブレーキを減らす)、左で減速(回生ブレーキを増やす)、シフトレバーの前後方向へのチェンジであれば前でシフトアップ、後ろでシフトダウン(BMWやマツダは逆)と、より感覚的に分かりやすく、最近では左右に動かすタイプは珍しいから慣れが必要。

さて、日本ではCEVによる補助金制度があり2015年度はまだ確定していないが、366万900円の価格は前年並みの補助金であれば300万円を切る。

とはいっても、決して安くはないからどれだけ売れるか分からないが、フォルクスワーゲンのEV、PHV戦略は緒についたばかりだから台数よりも市場の反応を探る意味合いも強いのだろう。

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