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早めの対応が肝心!管理費滞納問題(2ページ目)

築年数が進んだマンションほど発生しやすいのが、管理費等の滞納問題です。滞納の長期化、滞納金額の増加は管理組合の運営に深刻な影響を及ぼしかねないので、初期段階での対応が重要となってきます。

村上 智史

執筆者:村上 智史

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滞納初期段階でやるべきこと

1) 管理会社の責任範囲の確認
滞納問題が深刻化した管理組合の場合、「管理費の徴収業務を最後まで管理会社に委託している」と誤解しているケースが少なくありません。

しかしながら、国土交通省から示されている標準管理委託契約書においても、「滞納期間○か月以内は管理会社が電話や面接での督促を行う」旨定められており、それ以降は管理組合の業務として自ら対処しなければならないことになっています。

このような管理委託契約上の業務範囲を含め、管理組合が正しく認識するよう啓蒙することがまず重要です。

2) 滞納管理費等の督促状況の管理
次に滞納が実際に発生した場合、管理会社による督促業務の内容を毎月文書により組合(理事会)に対して報告させ、回収の進捗を確認するようにマネジメントすることが大切です。

また、督促を実施したにもかかわらず組合員が滞納管理費等を支払わないときは、法的措置を行えるうよう準備を進めます。

3) 法的措置を講じる前に確認すべきこと
督促をしても滞納金を回収できない状況になった場合には、消滅時効を中断させるためにも法的措置を追行することが必要になります。

ただ、その前に現状の管理規約を事前に確認しておく必要があります。

国交省が定めた標準管理規約では、滞納問題に適時に対応すべく、未納の管理費等の請求に関しては理事会決議により理事長が管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができるようになっています。(下記条項参照)

【標準管理規約】
第60条(管理費等の徴収)

3 理事長は、未払いの管理費等及び使用料に関して、理事会の決議により、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる。
しかしながら、この条項は平成16年の改正の際に新たに定められたため、それ以前の管理規約の場合には、こうした定めがない可能性が高いと思われます。

その場合には、区分所有法第57条の定めにしたがって総会決議で承認を得ることが必要となるので、注意が必要です。(下記条項参照)

【区分所有法】
第57条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。

2 前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
現実にいま滞納問題が起きているかどうかにかかわらず、旧標準規約に沿った規約にもとづき運用している管理組合については、滞納問題が顕在化した際に機動的に対応できるよう、あらかじめ上記の改正を行うことを提案してくとよいでしょう。


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