中川晃教 82年宮城県出身。2001年に「I Will Get Your Kiss」でデビュー、多くの新人賞を受賞。2002年に『モーツァルト!』で舞台デビューし、文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞等を受賞。以降『Tommy』『Chess In Concert』などの舞台、映像など多方面で活躍している。(C) Marino Matsushima
そののびやかな高音、自由自在の歌唱で「現代の楽聖」をみごとに体現した『モーツァルト!』(2002年)。以降、様々な舞台で確かな存在感を放ち続けている中川晃教さんが、最新作の『ファースト・デート』ではちょっと意外な(?!)役どころ、「草食系男子」に取り組んでいます。
12年にシアトルで初演、昨年ブロードウェイに進出した本作が描くのは、とある男女のブラインド・デート。相手をほとんど知らない状態で男女がバー等で待ち合わせ、まずは相性を試してみるという、アメリカらしいこの「出会いの場」で、アラサーのアーロンとケイシーが出会います。真面目でちと奥手、「草食系」なアーロンに対して、ケイシーは見るからに奔放な「肉食系」。あまりのタイプの違いに、互いに「(この人との恋愛は)無いな」と思う二人ですが、心の中に現れる家族や友人に本音を漏らしながらも、ぎこちない会話は続行。このままデートは冴えないひとときのまま終わるのか、それともまさかの展開に?! 二人の心の中に登場する人々を店内の客たちが演じるという趣向も楽しい、肩の凝らない「等身大ミュージカル」です。
――中川さんはシリアスな作品へのご出演のほうが多いような印象がありますが、今回、本作のオファーを受けた決め手は?
「NYで今年1月まで上演されていたホットな作品であるということと、7人という、凝縮した人数でお届けする作品で、シアタークリエという劇場にぴったりであること。そして決して重い作品ではなく、観終わって楽しかったなと思って帰っていただける作品であるという3点が主な理由です」
――“重くない”作品を、というのは中川さんの今のご気分なのでしょうか。
「そういうわけではないですが、重い作品もやっているので、バランスをとろうかなと。お客様たちにも、いろんな中川晃教を見ていただきたいと思っているんです。ライトなものも僕は好きなんですよね」
――重いというか“濃い”という意味で、最近作の『VAMP魔性のダンサー ローラ・モンテス』のフランツ・リスト役は強烈でした。黒木メイサさん演じるローラとの、音楽を介したラブ・シーンが舞台表現では他に類をみないほどのエロティックさで……。
『VAMP~魔性のダンサー ローラ・モンテス~』写真提供:テレビ朝日、ネルケプランニング 撮影:引地信彦
『VAMP~魔性のダンサー ローラ・モンテス~』写真提供:テレビ朝日、ネルケプランニング 撮影:引地信彦