エントリーシートはもう古い?エントリームービーの時代へ
昨年大手就職サイトの「リクナビ」で「オープンES」という新しい機能が登場し議論になった。今まで就活生は企業1社1社に対してエントリーシートを記入し送付していたため、膨大な時間と労力を割かなければならなかった。しかし、このオープンESを使って1つのフォーマット化されたエントリーシートを作成しておけば、それをデータでエントリーしたい企業に簡単に送付することができるようになった。
その「就活の運命を決める1枚」の作成に学生がキャリアセンターに殺到するなど大学側の負担が増えたという批判もあったが、機能としては今の就職活動の非効率な面に変革を与える画期的なものだったと思う。
しかしYouTube がフル活用される時代には、もうこのオープンESも必要なくなる。
近い将来、学生は自分の「自己PRムービー」を撮影し、それをYouTubeにアップし、そのURLを志望企業に送る。企業も今までは文章や筆記試験のスコアでしか合否の判断をできなかったが、動画であれば実際に本人の雰囲気なども掴んだ上で会いたいかどうかを判断できるようになるので、面接でのミスマッチは大きく解消することになる。
まさに「エントリーシートの時代」から「エントリームービーの時代」になるのだ
YouTubeの活用で合同企業説明会も必要なくなるかもしれない
例えば、企業もエントリームービーを通過して面接に来る学生には、1次面接受験者用のYouTube 動画を送る。そこには会社説明会で見るような映像制作会社が作成した「立派な映像」ではなく、YouTube ならではの「素朴な動画」がアップされている。実際のオフィスの様子や新人営業社員の1日仕事内容が2~3分でコンパクトにまとめられている。企業もYouTubeではプロが作った完璧な映像よりも、素人っぽさが少し残るリアルな動画の方が親和性が高いことを知っているので、むやみに会社や仕事を「飾ること」はしない。
このような動画を企業も学生も見た上で会う面接では、もしかしたらお互い初めて会った気がしないかもしれない。これがまさにYouTube をフル活用した採用活動と就職活動だ。
こうしたエントリームービー時代への期待について、理想を描き過ぎかもしれないし、実際にはYouTube を活用した採用活動と就職活動には問題もあるのかもしれない。しかし現在の採用活動や就職活動が抱える数多くの問題を解決するのは就職情報サイトの機能だけではない。企業や学生自身が使えるものはフル活用しながら互いに相互理解を深めようとして初めて解決されると思う。
YouTubeはその1つのきっかけになるのではないだろうか。