保険金請求は難しくない。「出口」で揉めないためにはやはり「入口」が大事
見ず知らずの第三者を安易に信用しないで
Hさん 保険金の請求が難しいなどということは、一切ないですね(笑)。電話一本いただければ、手取り足取りすべてご案内しますから。保険金の請求手続きのご説明は、ほとんどの場合、電話でのご案内で終わりますし、仮に鑑定人に損害調査を依頼する場合でも、調査日の予定をすり合わせるだけ。鑑定人を派遣するかどうかは、損害認定の難易度とか、損害額の大小などをもとにケースバイケースで判断しています。
清水 保険金の請求は難しいと脅して、契約に持ち込もうとするということなのでしょうね。しかし、1つ疑問に思うのは、損害保険の契約は9割方が代理店を通したものですが、代理店とそれなりの信頼関係を築けていれば、見ず知らずの業者に保険金請求まで任せるなんてことはせず、まずは代理店に一報するのではないかと思うのですが…
Hさん 代理店は保険の販売が主たる仕事ですから、被災後の保険金請求時には、保険会社の担当と直接お話しいただくのが最も良いと思います。
清水 代理店の方からは、困ったことが起きたときには見ず知らずの第三者に絶対に保険金請求を任せてはいけない、ここにすぐ連絡してくださいと契約時に注意喚起をするとか、何かあればこちらに連絡を、といったご案内もとても有効なのではと思います。信頼関係の構築によって、被害防止はある程度可能なのではないでしょうか。…ただ、一番大事なのはやはり、どのようなときに保険金を受け取れるか、一人一人の契約者がしっかり理解しておくことですね。知らないからこそ付け込まれているわけですから。
Hさん 確かに、保険金がどのようなときにどう受け取れるか、契約時にすべて理解されているお客様ばかりではありません。特に「水害」の補償範囲は誤解が多いです。自然災害等による洪水や土砂災害などが補償範囲ですが、雨漏りや給排水設備の水のトラブルも対象ではと思っているお客様が少なくありません。雨漏りは建物の老朽化や瑕疵などが原因となることが多いですし、給排水設備の事故による水のトラブルは水害ではなく「水濡れ」として補償されます。ただ、ほぼ毎日のようにこうした誤解に基づくトラブルがある現状を考えると、補償内容をわかりやすくする努力は業界的にさらに必要だとは思います。
清水 ほぼ毎日…。それは不幸なことですね。「出口」、つまり保険金支払い時に揉めない為には、「入口」、つまり契約時によく理解しておくことがやはり欠かせないと。保険金をしっかり受け取れるだけでなく、お客さま自身が悪徳業者から身を守ることに繋がりますし、保険金請求時の誤解に基づくトラブルも回避できます。契約者本人はもとより、その被害に関わる全員が嫌な思いをせずに済みますよね。しかし、損害調査は大変な仕事ですね。契約時から発生しているお客様の勘違いへの対応や、特定業者トラブルに至ってまで、「出口」問題をすべて引き受けなくてはならないのですから。今日は貴重なお話をお聞かせくださり、ありがとうございました。
【関連リンク】
火災保険に絡む、悪質勧誘・トラブルに注意!
ハザードマップを知っていますか?
火災保険の必要性2 自然災害に国の補償なし
火災保険の風災・ひょう災・雪災ってどんなの?
大雪でカーポートが落下。火災保険は使える?
火災保険の水災(水害)とは?
九州北部豪雨 床上浸水は火災保険でカバーできる
火災保険と火災共済、どう違う?