フラット35は追加緩和を反映
2014年下期に入り、長期金利が再び緩やかに低下していたところに、ハローウィン緩和と称される日本銀行の追加緩和が10月31日に行われました。円安、株高が大幅に進んだにもかかわらず長期金利は急低下し、一時0.435%と2013年4月初旬の水準まで低下しました。2013年4月4日の量的・質的緩和では、長期金利は翌4月5日に0.315%と史上最低水準まで低下したのですが、今回の追加緩和は量的・質的緩和と比較すると小幅。このため、2013年4月程の大幅な低下、その後の乱高下とはなっていないようです。
住宅ローン金利においては、民間銀行の固定金利選択型の2014年11月の融資金利は既に決められた後の追加緩和であったのですが、フラット35の融資金利にとってはギリギリ追加緩和を反映することができたようです。なぜなら、フラット35の11月の融資金利は過去最低を更新したものの、民間銀行の固定金利選択型は大多数の銀行で過去最低を更新できなかったからです。
過去最低金利更新の連続伸びる
2014年11月の融資金利を見ていくと、フラット35は4ヵ月連続して過去最低金利を更新しています。物件の90%以内の融資では、主力の返済期間21年以上の融資金利は10月の融資金利より0.04%引き下げられ1.61%になりました。1.60%割れが視野に入りつつあると言っても過言ではないかもしれません。1.61%の融資金利はフラット35の取扱い金融機関の中での最低金利ですが、他の金融機関でも概ね11月の融資金利は0.04%前後、10月の融資金利より引き下げられています。
返済期間20年以内の10月の融資金利は9月と変わることはありませんでしたが、11月の融資金利は、返済期間21年以上同様に0.04%引き下げられ1.34%となっています。日本銀行の追加緩和実施により、長期金利が久し振りに大幅に低下したことによるものと考えられます。
一方、民間銀行の固定金利選択型の金利は、2014年10月の融資金利こそ小幅に引き上げられたものの、11月の融資金利は0.05%前後引き下げられています。主力の10年固定選択型の主力銀行の融資金利(最優遇金利)を見ていくと、みずほ銀行は1.20%、三井住友銀行は1.25%、三菱東京UFJ銀行も1.25%、りそな銀行は1.30%、三井住友信託銀行は1.00%となっています。
主力の10年固定選択型が金利競争の主流となりつつある反面、2年固定、3年固定の金利引き下げ競争は起こっていません。年度末に向かって引き下げ競争が再燃するかもしれませんが、今回の日本銀行の追加緩和、日本銀行が買い入れる国債の償還年限を最大3年長くしています。2年固定、3年固定の基準となる中期金利は下がりにくくなっていることは、金利引下げ競争にはマイナスとなるかもしれません。
また変動金利型の融資金利は、今回の追加緩和により長期金利が低下しても、融資金利が引き下げられることはほとんどありません。変動金利の基準となる金利は、長期金利ではなく短期金利となっているからです。変動金利の融資金利が引き下げられるとすれば、各銀行の優遇金利幅が改定された場合に限られると思われます。