企業経営のノウハウ/社内報の活用法

聞き上手になろう! 職場で本音を引き出す取材術

メールやSNS、コミュニケーションインフラの進展が激しく、それに伴ってビジネスでも直接コミュニケーションをすることが少なくなってきました。傷つくことを恐れ、本音が言えない若手も多いのではないでしょうか? しかし、人が心を揺さぶられ、共感し行動するのは、本音に触れた時です。そんな本音で対話できる関係性が組織ではなにより大事です。どうやったら人は本音を語るのか。社内報の取材を例に取り紹介しましょう。

豊田 健一

執筆者:豊田 健一

総務人事・社内コミュニケーションガイド

職場でのインタビューとは?

社内報においても読まれる記事、共感される記事は本音が掲載されているものです。社内報コンクールにおいても評価が高いのは、社員が何を考え、どう感じているのかを深く掘り下げている企画です。それだけ、人は人の本音を知りたがり、引き込まれるのです。そのために社内報では取材、インタビューをしていきます。自らが執筆する原稿には、なかなか本音は書けないものです。その本音を探るためにインタビューをするのです。なぜなら、インタビューとは、その人の内面(インター)を見る(ビュー)ことだからです。

インタビューとは相手の内面を見ること

インタビューとは相手の内面を見ること

しかし、場当たり的なインタビューでは、本音は出てきません。そもそも何を聞きたいのかという企画の主旨を明確にし、主に誰に、何を伝えたいのか、結果、このテーマはどういう形式の記事にするのが最適なのかを考えていきます。インタビュー記事、座談会(4人以上)、鼎談(3人)、対談(2人)という形式もあります。

人選も大事です。企画に相応しい人、理由を明確にして選ぶと、本人も読者も納得します。結果、読まれるものとなります。普段から「このテーマはこの人」という情報ストックを持っておくと良いでしょう。もちろん、すぐに取材に応えてくれる場合ばかりではありません。ですが、一度断られても、すぐにはあきらめず、編集者の熱意を見せることが大事です。人間は自負心の動物です。期待されて嫌な人はいないはず。また、話を受け入れてくれることはうれしいものです。そして、なにより大事なのが、本音を聞き出す際の心構えです。

編集者の熱意がなにより大切

編集者の熱意が大事と書きました。その熱意とは、なんとかしていい記事をまとめたい、読者にぜひこの記事を読んで欲しいというものです。熱意が迫力となり、取材を受ける人の心をとらえ、積極的な協力が得られるのです。話を聞く人と話をする人の気持ちが同じベクトルになったときがいい取材、本音が聞き出せる取材となります。社内報編集者は会社を良くしたい、読んだ社員を元気にしたいと思って話を引き出すことも必要でしょう。

そして、仕事が忙しい中、無償で引き受けてくれる社員に対して報いるには、本音を引き出しつつ、その人の長所や、その人ならではのエピソードを引き出し、最大限魅力的に紹介することで、取材を受けて良かったと思ってもらえるようにすることが大切です。

取材時間や場所はどうでしょうか?朝一番は、頭がすっきりしているので、理路整然とした話が引き出せるでしょう。しかし、取材後に重要要件がある場合は避けた方が無難です。昼食時は、なごやかな会話が期待できますが、難しい話には向いていないでしょう。午後一は昼食が済んでいるため、相手の気持ちが落ち着いているので、本音は引き出しやすいでしょう。就業後は取材途中に他要件が入ってこないので、ゆっくりと話が聞けるはずです。取材場所は、基本は先方の指定した場所ですが、可能であれば、応接室、喫茶店、社内の喫茶コーナーで行い、向かい合わせではなく、テーブルの角を挟んだ横から取材するのが良いでしょう。
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