3通りすべて観たくなる、トリプルキャスト!
人間そのものを表現する、ヴェルマの超シンプルな衣裳
——以前、宝塚では稽古場の入り口に近いところに上級生が座り、男役と女役は別れて座る、という話を伺ったことがあるのですが、この稽古場で宝塚ルールか適用されていることはありますか?
——会見でもお話しなさる順番が、やはり学年順で上級生からでしたね。
私がトップだった時、何人かでのインタビューや会見があると、自分が喋らないと誰も喋らないから、まず喋る。帰る時も自分が帰らないと誰も帰れない。それは皆が了解していることなので、「じゃ、私帰るね」と先に帰る。自然なことですね。
——水さんは外部公演で宝塚の後輩がアンサンブルの中にいると、気づかれますか?
それはわかりますよ。何となく。やはり舞台に対する礼儀がきっちりしているから。あと、下級生は必ず挨拶に来ると思います。
街中歩いていてもわかりますよ。あ、下級生だ!って。やはり雰囲気が独特でしょ?髪型とか髪の色とか。宝塚を退団したから素晴らしい所をたくさん発見したと同時に、ちょっと面白い~!って客観的に思うこと、たくさんありますよ。在団中は全く気づかなかった!って。
——たとえばどんな?
羽、ちょっと面白くないですか?ゴージャスですごいけど、あの大きな羽、大きすぎでしょ!!って(笑)。
——えーっ?! 水さん、背負っていらっしゃったじゃないですか!
当時は、羽、あたり前でしょ(おすまし顔)だったけど。衣裳やセットの色合いも、今はおー!って思うけど、あれが宝塚マジックなんですよね。ほんと独特。
それに比べて、『CHICAGO』は超シンプルで白と黒のモノトーンの世界。ヴェルマの衣裳合わせをしたら、レオタード?これ稽古着?みたいな。これまた、えーっ?!って驚きました(笑)。
——あのシンプルな衣裳は着こなせる方が限られますよね。
あの衣裳は、すべてを曝け出して、何の飾りも守るものもないところで、人間そのものを出してほしいという意味らしいです。きっと私自身ぼろぼろになりながら、それでも人間を表現できるって、最高に素晴らしいことだと思います。
自分を曝け出すって、今までもやってきましたけど、でも本当の自分を全部出し切れていたかどうか。本気でそれができたら世界が変わるでしょうし、役者としてのステージもあがるはず。とても楽しみです。