ミュージカル/ミュージカル・スペシャルインタビュー

Star Talk Vol.18 山崎育三郎、自身と重ねて役を生き(5ページ目)

19歳、史上最年少で『レ・ミゼラブル』のマリウス役を務めた2007年以降、抜群の歌唱力を武器に数々の大役を演じてきた山崎育三郎さん。目下、2010年に絶賛された『モーツァルト!』に再挑戦中の彼に、「多分に自分とリンクする」というモーツァルト役への思いから、これまでの歩み、今後のビジョンまで丹念に語っていただきました。貴重フォト収録!お人柄の伺えるインタビュー、お楽しみください!*観劇レポートを掲載しました!

松島 まり乃

執筆者:松島 まり乃

ミュージカルガイド

忘れえぬ役の数々

『サ・ビ・タundefined雨が運んだ愛』写真提供:東宝演劇部

『サ・ビ・タ 雨が運んだ愛』写真提供:東宝演劇部

――マリウスはその2007年公演を皮きりに何度も演じていらっしゃるだけに、印象深い役ではないでしょうか。

「実は声変わりした中学3年の時に、“次にミュージカルに戻るときはマリウス”と自分に言い聞かせてたんです。それから5年ほど、ひたすらマリウスに向かって積み重ねてきたので、オーディションに受かった時にはラッキーでも何でもなくて“ここからスタートなんだ”と心の中で思っていました」

――着実な道程ですね。

「自分の中では5年間しんどい思いもしましたよ。全然声が出ないところからスタートして、毎日練習室にこもって発声して“青春も何もないな”と思っては、帝劇にミュージカルを観に行って自分を奮い立たせてもらってまたレッスン。その繰り返しだったので、合格した時には“やっと”という思いでした」

――オリジナル演出と新演出、二バージョンの『レ・ミゼラブル』も体験されましたね。

「小学生の時から観ていてファンでもありますし、ジョン・ケアードと一緒に作ってきたものが大きかったのですが、(新演出については)新しいチャレンジの気持ちを持って臨みました。新しいカンパニーはそれまでの『レミゼ』にはない、劇団みたいなチームワークでやっていましたね。みんなで作ろう、という。演出については、よりシンプルにリアルにということが求められたかな。以前は、これは日本独特の文化なのかもしれませんが、例えば“スターズ”で歌舞伎の見得の際の“待ってました!”に応える“たっぷりと”感に類する空気があったけれど、そういうのは無くそうという方向性でした」

――その後も様々な作品に出演されていますが、個人的には音大付属高校生たちの青春を描いた『交響劇 船に乗れ!』(関連記事はこちら)が特に印象的でした。青春の痛み、残酷さがとてもよく表現されていたと思います。

「僕自身が音大付属に通っていたので、すごくリンクする部分が多い作品でした。津島というチェロを弾く生徒の役だったんですけど、僕自身、同級生にチェロの津島がいたんですよ。男子も数人しかいなかったり、会話の内容も、まさに自分の高校時代を再現しているような感覚になって(笑)。稽古期間中に僕がワークショップをやって、“音大の付属高校ではこういうことあるよ”とみんなにレクチャーをしたこともありました。歌はすべて既存のクラシック曲に歌詞をはめたもので、難しかったけど、ああいうオリジナル作品への挑戦には興味があるので、とても面白かったです」
『レディ・べス』写真提供:東宝演劇部

『レディ・べス』写真提供:東宝演劇部

――そして最近作と言えば『レディ・ベス』。クンツェ&リーヴァイ作品ですが、日本が世界初演でした。

「世界初演というのは、あまり意識していなかったです。『船に乗れ!』など、すべての作品が世界初演みたいなものですから。でも、本番直前に台詞や歌がカットになったり増えたりというのもあったので、帝劇公演の間はドキドキしました。世界初演ということでさらにいいものにしたいという思いがスタッフの側にもあって、ゴールは決めずに進化させていったんですね。本番が始まってからも日々変わっていったので、千穐楽では全然違う作品になったくらい良くなったと思います。ラストシーンも、最初の台本から変更に変更を重ねていってあの形に落ち着いたんですよ。その変化していく過程が面白かったです。再演ですか?どうでしょう(笑)」

*次ページではStarS、そして今後のビジョンについて語って下さっています!*
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