ミュージカル/ミュージカル・スペシャルインタビュー

Star Talk Vol.18 山崎育三郎、自身と重ねて役を生き(3ページ目)

19歳、史上最年少で『レ・ミゼラブル』のマリウス役を務めた2007年以降、抜群の歌唱力を武器に数々の大役を演じてきた山崎育三郎さん。目下、2010年に絶賛された『モーツァルト!』に再挑戦中の彼に、「多分に自分とリンクする」というモーツァルト役への思いから、これまでの歩み、今後のビジョンまで丹念に語っていただきました。貴重フォト収録!お人柄の伺えるインタビュー、お楽しみください!*観劇レポートを掲載しました!

松島 まり乃

執筆者:松島 まり乃

ミュージカルガイド


内気な少年が「歌」に出会い、人生が輝き始める

『ミス・サイゴン』2012年公演undefined写真提供:東宝演劇部

『ミス・サイゴン』2012年公演 写真提供:東宝演劇部

――では、ここからは山崎さんのキャリアについてお聞かせください。さきほど、11歳の頃から子役をされていたというお話を伺いましたが、その前に童謡コンクールで入賞したこともおありなのですね。

「もともとは野球少年で、6歳からやっていたんですが、性格的には人前に出るのが苦手で、家でさえ“どこにいるのかわからない”と言われるほど喋らない子でした。母親がひどく心配していたんですが、8歳の時に母に連れられて『アニー』を観に行ったら、帰宅後“トゥモロー”をきれいな声で歌っていたそうなんです。歌をきっかけに、人の目を見て話ができるようになればということで、近所の音楽教室に通い始めました。

そこの先生に“こういうものがあるよ”と聞いて、母と一緒に童謡コンクールに出て“七つの子”を歌いました。“か~ら~す~、なぜ泣くの~”というあの歌ですね。そこでファミリー賞のようなものをいただいて、それがきっかけで歌が好きになりました。学校の音楽の授業で“山崎君、上手だからみんなの前で歌ってごらん”と言われて歌ったり、親戚の集まりで歌ってお小遣いを貰ったり(笑)。

そんなある日、歌の先生から“小椋佳さん主宰のアルゴミュージカルのオーディションがあるよ。男の子が主役らしい”とうかがって受けてみたら、3000人くらい子役が集まっていました。3歳からダンスをやってきたような子ばかりで、『アニー』の主役をやっていた子も4人ほどいたかな。“うわ、アニーの人たちだ……”と思いながら参加してましたが、演技もダンスもなんにも経験がないにもかかわらず、小椋さんが僕を主役に選んでくださったんです。
山崎さんの少年時代の舞台より。写真提供:山崎育三郎

山崎さんの少年時代の舞台『フラワー』より。

半年間の稽古では、演出家から“下手くそ、帰れ!”と灰皿を投げつけられる勢いで言われ続けて、“なんで俺、ここにいるんだろう”とも思ったけど、半年間練習していると、子供だし、運動神経はよかったから、ダンスもなんとなく出来るようになってくるんですよね。初日を迎えたのは、今は“天王洲銀河劇場”ですが、当時は“アートスフィア”という名称だった劇場。カーテンコールでわーっと拍手をいただいて、“これを一生の仕事にしたい”と思いました。当時はまだ野球も続けていてキャプテンだったのですが、監督に“どちらかにしなさい”と言われて、“野球はやめます”と答えました」

*次ページでは山崎さんの人生を大きく変えた体験から“史上最年少マリウス”となるまでをお話しいただきます。
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