ミュージカル/ミュージカル・スペシャルインタビュー

Star Talk Vol.18 山崎育三郎、自身と重ねて役を生き(2ページ目)

19歳、史上最年少で『レ・ミゼラブル』のマリウス役を務めた2007年以降、抜群の歌唱力を武器に数々の大役を演じてきた山崎育三郎さん。目下、2010年に絶賛された『モーツァルト!』に再挑戦中の彼に、「多分に自分とリンクする」というモーツァルト役への思いから、これまでの歩み、今後のビジョンまで丹念に語っていただきました。貴重フォト収録!お人柄の伺えるインタビュー、お楽しみください!*観劇レポートを掲載しました!

松島 まり乃

執筆者:松島 まり乃

ミュージカルガイド


最後の一瞬まで“自分の生き方”を貫くという幸福

モーツァルト!』写真提供:東宝演劇部

『モーツァルト!』写真提供:東宝演劇部

――史実でのモーツァルトは病死と言われていますが、本作でその最期は“アマデ”との葛藤の果てとして、比喩的に描かれます。その壮絶なラストシーンは非常に印象的ですが、ヴォルフガングとしては敗北感を抱いていたのでしょうか。

「僕の考えの中では、彼は幸せだったと思います。母や父親が亡くなったり、妻の心も彼から離れていったけれど、最後まで自分の好きな音楽と向き合い、死ぬ直前まで作曲が出来たというのは、ヴォルフガングにとって幸せな事じゃないかな。

僕も舞台に立つ人間として、(人生の)最後まで舞台の上に立っていたいという気持ちはあります。それに近いものがあるんじゃないかな。ヴォルフガングは苦しみながら死んでいくけれど、最後には何か開放されるというか、みんなは理解してくれなくても、“僕はこうなんだ”“僕の生き方はこうなんだ”ということを、死ぬぎりぎりまでやりきったのではないか。最後にはゴールに到達したというか、やりきったという、幸せな気持ちの方が強いかもしれないですね」

――シルヴェスター・リーヴァイさんの音楽はいかがでしょうか?

「彼はクラシックを基礎として、いろいろな音楽に通じている方ですね。キャラクターにあわせて音楽のジャンルさえ変えて作曲しているところが非常に面白いし演劇的だし、お客様にとっては年代を問わず楽しめる音楽だと思います。今年僕も参加していた『レディ・ベス』でも、ポップス、クラシック、スペイン音楽、イギリス民謡、ジャズ……と、登場人物のキャラクターとか生まれた国によってジャンルを変えたナンバーをあてていました。

それと、ヨーロッパの方なので、アメリカのミュージカルとは違った哀愁、繊細な部分があって、日本人に合うような気がします。アメリカの“ザッツ・ミュージカル”的な音楽とは違って、アジア的な“こういいたいけど言えない”“我慢している、気を使っている”というような、日本人が美しいとする発想のようなものが、リーヴァイさんの音楽にもある。それが日本や韓国で彼の作品が大ヒットしている理由なのかなと思います。ヨーロッパだから出る音色なのかな、と」
『モーツァルト!』写真提供:東宝演劇

『モーツァルト!』写真提供:東宝演劇部

――今回、ご自身の中でテーマにしていることはありますか?

「自分のヴォルフガングがどういうもので、何を表現したいのか。(キャスト)メンバーも一部変わりましたし、またゼロから作り直して、今の自分が感じるモーツァルトを作りたいです。この役はテクニックではできない役で、考えてやると言うより、自分の感じたままぶつかっていかないといけない役だと思うんですよね。今の僕が28歳なので、これまでの28年間で経験してきたことをもとに、しっかり表現する。とにかく思い切り、今の自分ができる表現を目指してぶつかっていきたいなと思います。

今年の始め、モーツァルト巡りをしたいなと思って、初めてウィーンに行ってきたんですよ。彼ゆかりの公園や町、カフェ、生まれ育った家を訪ねることで、“この公園で歩きながら曲を作ったのかな”“ここをあの台詞のような気持ちで歩いたのかな”と、これまでイメージの中でやっていたものが明確になった瞬間も有りました。今回、舞台に立った時に、現地で肌で感じた空気感をイメージしながら表現できるので、今年はまた違う気持ちで表現できるのではないかなという気もします」

*次ページからは山崎さんの「これまで」をうかがいます。意外にも(?!)内気だったという育三郎さんがミュージカルと出会ったきっかけとは?

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