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ドイチェ・先進国セクター戦略厳選株式ファンド

去年NISAの開始を見据えて1000本を超える投資信託の新規設定があった反動からか、2014年の新規設定本数は大幅に減少しています。その分、わが国初、あるいは個性豊かなファンドがいくつも新規設定されていることを見逃すことはできません。今回はドイツ銀行グループが独自に開発した株式分析手法を活用した投資信託をご紹介しましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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ファンドの特徴

2014年10月30日に新規設定されるのは、ドイチェ・アセット・マネジメントが運用する「ドイチェ・先進国セクター戦略厳選株式ファンド(収益分配型)/(資産成長型)」です。

同ファンドの投資対象は世界の主要な株式市場に上場されている大型株で、主としてS&P500、STOXX Europe Large200、TOPIX100の各指数構成銘柄である、米国、欧州、日本の上場株式です。ただし、金融セクターは除かれています。

ドイツ銀行グループの株式分析手法「クロッキーモデル」を活用したクロッキー・セクター戦略に基づき、原則として、一般消費財・サービス、生活必需品、エネルギー、ヘルスケア、資本財・サービス、情報技術、素材、電気通信サービス、公益事業の9つのセクターの中から割安と判断される3つのセクターを選択し、各セクターで割安と考える10銘柄程度を選択し、30銘柄程度に投資されます。

組入銘柄への各投資比率は概ね均等とすることを基本とし、組入銘柄の見直し、投資比率の調整は原則として3ヵ月毎に行い、その時点でクロッキー・セクター戦略に基づき割安と考えられる銘柄に投資されます。次に見直しが行われるまでの3ヶ月間は原則として銘柄の見直しは行われません。

クロッキーモデルの概要

ドイチェ・先進国セクター戦略厳選株式ファンドの運用の鍵を握る「クロッキーモデル」とはどのような株式分析手法なのでしょうか。

クロッキーモデルは1996年にドイツ銀行グループが独自に開発した株式分析手法で、「Cash Return on Capital Invested」の頭文字を取ったのが「クロッキー(CROCI)」です。投下資本に対する現金収益比率を意味しています。クロッキーモデルは、国・地域や業種を越えて同じ投資指標で企業の比較・分析を行うことを目指しています。

世界の大型株を対象とし、客観的なルールに基づいて会計データをより経済実態に沿ったデータに構築し直した上で「エコノミックPER」等の独自の投資指標を計算し、それを活用して企業分析・投資戦略の構築が行われます。

通常のPER(株価収益率)は、株価の割安度を測る指標として広く活用されていますが、各国の会計基準や各企業の会計方針等に相違があるため、会計データをそのまま用いて算出される通常のPERで銘柄間の比較を行うのは困難なのです。

クロッキーモデルでは進化したPERとして、企業の経済実態を反映した「エコノミックPER」を用いることで、国・地域や業種枠を超えた銘柄選択を容易に行うことを可能にしているのです。

MSCIワールド・インデックスを大幅に上回る

ドイチェ・先進国セクター戦略厳選株式ファンドは新規設定ファンドであることから、運用成績は未知数ですが、同ファンドが使用するクロッキー・セクター戦略指数の推移をご紹介しましょう。

クロッキー・セクター戦略は、国・地域の配分は一切考慮せず、機動的に割安で魅力的なセクターの厳選銘柄に投資を行われます。同投信と類似した戦略に基づき計算されるクロッキー・セクター指数は、計算開始期間である2005年3月31日から2014年7月31日の期間で234%のリターンを上げており、同期間で73.9%のリターンのMSCIワールド・インデックスに対して大幅な超過収益を上げています(円ベースでの比較)。

また、年間の同指数の2005年~2014年までの騰落率(円ベース)は、2012年だけMSCIワールド・インデックスを下回っただけで、他の年は全てアウトパフォームしています(2005年は3月末から年末、2014年は年初から7月末まで)。

過去の運用成績が将来を保証するものではありませんが、過去の指数の運用履歴を見ると今後の運用成績にも期待を抱かせるファンドと言えるでしょう。時間分散を活用して投資を行えば、さらによりクロッキー・セクター戦略が生きるような気がしてなりません。

独自の株式分析手法を活用したドイチェ・先進国セクター戦略厳選株式ファンド、運用経過は随時チェックしていきたいと思います。

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