カポディモンテ美術館の歴史
アレッサンドロ・ファルネーゼの肖像の並ぶ部屋 (c)Ewa Kawamura
カルロ7世の母エリザベッタ・ファルネーゼが所有していた美術コレクションは、「ファルネーゼ・コレクション」と呼ばれ、カポディモンテ美術館の骨格をなしています。それは15世紀に遡る先祖、ローマ法王パウルス3世(アレッサンドロ・ファルネーゼ)が始めたもので、コレクションはあまりに多岐にわたるため、古代ローマ彫刻などは、ナポリの国立考古学博物館に収蔵されています。さらにコレクションは、ローマだけでなく、パルマ、ピアチェンツァなど、ファルネーゼ家各地の館にありました。
ナポリへの移動は少しずつ行われ、1735年にはじまり、19世紀半ばまでかかっています。最初に移送されたコレクションを公開すべく、カポディモンテ美術館が開館したのは、1757年ですが、ファルネーゼ家の武具コレクションがナポリに送られてきたのは、1864年でした。また17-18世紀のナポリ派絵画は、19世紀初頭、ナポリがナポレオン軍に支配されていたとき、当時のナポリ王ミュラが蒐集させたもので、ファルネーゼ・コレクションではありません。
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森の庭園も
カポディモンテ宮殿の窓からみた庭園 (c)Ewa Kawamura
王宮には、森のような広大な庭園も付随しています。ここで散歩をしたり、日向ぼっこをしたり、サッカーに興じる子供たちも多く、ナポリ市民の憩いの場です。134ヘクタールもの広さのある庭園は、1742年、バロック建築家フェルディナンド・サンフェリーチェが設計したもので、啓蒙主義的な放射状の通路と、碁盤の目の通路を混在させた区画整備がされています。19世紀には、自然の景観を装う英国式庭園にリニューアルされました。
園内には、同じくサンフェリーチェの設計したサン・ジェンナーロ教会(1745年)とカポディモンテ焼きの王立磁器工場(1743年)、牛舎、塔などの建物が点在して庭園に華を添えています。カポディモンテ焼きは、時代とともにスタイルを変えながら、今もナポリで生産されている陶磁器で、価格もリーズナブルなものから揃っていて、お土産にも最適です。
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■Museo Nazionale di Capodimonte(国立カポディモンテ美術館)
見学時間:8:30~19:30(毎日開館)
住所: Via Miano, 2, 80137 Napoli
TEL:+39 081 749 9111
アクセス:市内バスまたはタクシー(バスは危険地区を通過し、時間帯によっては本数も少ないので、タクシーがお薦めです)