労務管理/給与規定・賃金規定の基礎知識

そうだったのか?! 最低賃金の基礎知識(2ページ目)

従業員の賃金を決定する際、常に留意すべき「最低賃金」。国が「最低賃金法」により賃金の最低限度を定めているのです。最低賃金未満の賃金支払いの場合には、最低賃金額との差額支払いの義務が生じるわけです。この「最低賃金」は、毎年10月頃に「地域別最低賃金」が改定されます。本記事で自社の賃金チェックを早速してみましょう!

小岩 和男

執筆者:小岩 和男

労務管理ガイド


最低賃金の対象となる賃金とは?

基本給、諸手当など、何が最低賃金の対象となるのかチェックしておきましょう!

基本給、諸手当など、何が最低賃金の対象となるのかチェックしておきましょう!

次に最低賃金の対象となる賃金を確認しておきましょう。賃金は、基本給だけでなく諸手当などで構成されていますね。何が対象となるのか分かりますか?

最低賃金の対象賃金は、毎月支払われる基本的賃金です。実際に支払われる賃金から一部の賃金(割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当など)を除いたものが対象となります。具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。

■除外される賃金

  1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  2. 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  4. 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  5. 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  6. 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
最低賃金特設サイト(厚生労働省)から抜粋

最低賃金特設サイト(厚生労働省)から抜粋


最低賃金額をクリアーできているか?確認方法は?

最低賃金は、時間単価で公表されています。時給によるパート・アルバイトなどは分かりやすいですよね。では月給制の場合などはどのように確認するのでしょう?最低賃金額以上となっているかどうかは、賃金額を時間当たりの金額に換算し、最低賃金(時間額)と比較する必要があります。具体的には、最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を以下の方法で比較します。

■賃金形態ごとの確認方法
1. 時間給制
時間給≧最低賃金額(時間額)

2. 日給制
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、日給≧最低賃金額(日額)

3. 月給制
月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

■具体的確認例
では、上記3.の月給制の場合の具体的確認例をみていきましょう。

●(仮)前提条件
  • 基本給     100,000円
  • 職務手当    10,000円
  • 通勤手当    8,000円
  • 時間外手当 20,000円
  • 合計       138,000円
年間所定労働日数   240日
1日の所定労働時間 7時間
最低賃金は時間額   780円

●確認プロセス(1)→(2)

(1)最低賃金の対象とならない賃金を除外
138,000円-(8,000円+20,000円)=110,000円
通勤手当、時間外手当は除外。職務手当は除外されません。

(2)この金額を時間額に換算し、最低賃金額と比較
(110,000円×12か月)÷(240日×7時間)=786円>780円

この例では最低賃金額780円を超えた786円ですからクリアーできていますね。

<参考記事>
給与規定・賃金規定の基礎知識
<参考資料>
最低賃金制度(厚生労働省)
最低賃金特設サイト(厚生労働省)
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