透明シートの仕掛けが楽しい『じどうしゃの本』
道路を走るぴかぴかの青い自動車。ページをめくろうとしたら、ページとページの間に透明なシートが。シートをめくると車の中が現れました! ボンネットの中のエンジンルーム、運転するお父さんの手元や足元、人形しか見えなかった後部座席には、子どもと犬も笑顔で乗っていました。後部のトランクルームには、大きな荷物がたくさん。これからどこに出かけていくのかな? 車の作りや、お出かけのこれからの展開に、自然に想像力がかきたてられます。登場人物や出てくる車は、ページごとに異なり、1つの物語が展開していくという構成ではありません。乗用車や工事車両、スポーツカーなどが登場する中で、随所に挟まれている透明シートが、同じ場面の絵に新鮮な変化を演出してくれる興味深いしかけ絵本『じどうしゃの本』。大人も見入ってしまう絵の変身は、2歳前後から楽しめ、年代を問わず心引きつけられるおもちゃのようです。
見て考えて触って楽しむ絵本
細かい作りのしかけ絵本は、小さな子は破いてしまったり壊してしまったりという心配もありますが、この絵本のしかけは、透明フィルムに施された絵をめくるだけで、同じ絵が非常に異なる表情を持つというシンプルなもの。2~3歳の子が1人でめくるのにも耐えられます。自分でめくることで絵が変わるという喜びを味わえ、普段は大人が読むのを聞くのが専門の受け身の姿勢が多い場合でも、積極的に本に関わっていこうとする意欲が自然に引き出されそうです。全50巻、岳陽舎「はじめての発見シリーズ」の1冊
この『じどうしゃの本』は岳陽舎の「はじめての発見シリーズ」の1冊。草花や動物、人の体の仕組みなど50巻に上ります。たとえば『かえるの本』は、シートをめくることで、草むらの中に隠れていたカエルたちが姿を現したり、メスが産んだたくさんの卵からオタマジャクシがかえったり、飛び上がって虫を食べようとするカエルをひそかに狙っているヘビや魚の存在が現れたり。絵も非常にリアルで、動物の動きや体の仕組みについてもとても細かく描かれているので、親しみやすい図鑑のような存在としても楽しめるでしょう。