東洋医学から考える更年期障害
東洋医学の世界観の一つに、陰陽思想(いんようしそう)があります。これは、万物は陰と陽という対立する二つの性質から成立するという考え方であり、身体の健康や自然のバランス、社会情勢なども全てこの陰陽のバランスが整ってこそ健康や平和が維持できるとされています。例えば太陽は陽・月は陰、表は陽・裏は陰、上半身は陽・下半身は陰、精神は陽・肉体は陰などといったように、それぞれ別個の存在にも同一の存在にも陰陽の性質が宿り分類できるとされ、この考え方にならうと男性は陽・女性は陰とされます。
更年期は女性らしさを形作る女性ホルモンが減少していくのですが、陰陽思想からこの状態を考えると、女性の持つ陰の気が減少し陰陽のバランスが崩れている状態が更年期障害であると捉えることができます。
更年期障害は陰(いん)の気の減少が原因
このように陰の気が減少し、陰陽のバランスを崩した状態を東洋医学では「陰虚(いんきょ)」と呼びます。陰虚の状態では、身体を温める陽の気が強くなっているため、のぼせ・ほてり・発汗が頻繁に現れます。また、血(けつ)や津液(しんえき)といった身体のすみずみまで栄養を行き渡らせる体液の精製や移動には陰の気の力が必要なのですが、陰虚の状態ではこの機能が低下します。この結果、血を全身に送り出す心(しん)に負担がかかり動悸が発生し、津液の不足により筋肉に栄養が行き渡らず肩こりなどが発生します。
このように陰虚により発生する症状は更年期障害の症状とほとんど一致していることからも、東洋医学的な捉え方では更年期障害は陰虚であると考えることができます。
更年期障害の症状改善に効果的なツボ
湧泉へのマッサージは陰の気が湧き出る効果があるとされる。
今回ご紹介したツボは、更年期障害に限らずのぼせ・ほてり・発汗・動悸の改善に効果があると考えられます。ぜひお試しください。