やっぱり多い腰痛人口

腰が痛くなると腰痛用のベルトを巻いて頑張って出勤しているという人も少なくありません

腰が痛くなると腰痛用のベルトを巻いて頑張って出勤しているという人も少なくありません

症状の程度は様々ですが、一生のうちに一度は腰痛を経験すると言われています。平成25年度の国民生活基礎調査(厚生労働省)の自覚症状に関する調査において、腰痛の訴えは男性で1位、女性は肩こりに次いで2位と、体調不良の訴えの中でも上位を占めてします。「長年、腰痛が治らなくてツライ」「度々腰が痛くなる」といった声が、周囲に多いといった現状もうなづけますね。

また、腰痛での通院は、男性が4位、女性では2位という、これもまた上位を占めていることに驚かされます。「たかが腰痛でしょ?」と軽く流す人もいますが、これだけ腰痛に苦しみ病院を訪れる人が多いということがわかります。


腰痛の約90パーセントが原因不明!?

腰痛を訴えて病院を受診すると、腰の状態を把握するために様々な検査を行います。腰痛の原因となる疾患がみつかる場合もありますが、腰痛の約90パーセントは疾患が確認できず、原因が特定されないと言われています。医学の進歩はめざましいですが、それでも腰痛の発症については、まだ解明されていないことがあります。

海外や国内でも腰痛に関わる研究が続けられ、近年では「心理状態が腰痛に影響する」ということが知られています。ストレス症状のひとつとして腰に痛みが表れる、ということに、経験的にも気付いている人もいるかもしれません。しかし、その一方で、「私、ストレスに弱いということ?」と、ショックを受けてしまい「心理状態は関係ない!」と突っ跳ねてしまう人もいます。


ストレスで腰痛発生率が高くなる

予想外のことがストレスの反応として腰痛発症に繋がることがあります

予想外のことがストレスの反応として腰痛発症に繋がることがあります

私達は、いつも重力に抵抗して姿勢を支えつつ、日常生活を送っています。日常生活の中でも、腰に負担のかかると言われている姿勢や動作は沢山ありますよね。代表例として、重い荷物を持ち上げる・デスクワークで座り続けるといったことがありますが、同じことをしていても、腰痛にならない人もいます。例えば、同じ条件で、重い荷物をAさんとBさんに持ち上げてもらったとしても、腰痛を訴えたのは、Aさんだけであった、ということもあり得える話です。

これを裏付けるような研究結果が2000年にアメリカで報告されました。2グループに対して、腰椎に同じ量の物理的荷重を与える、というものです。心理的ストレスを与えたグループとストレスの無いグループでの比較でした。その結果、心理的ストレスを与えたグループの腰痛発生率が高かったそうです。


ストレス反応が腰部に表れてしまう人

原因が特定できない腰痛には、「心理的因子」と「社会的因子」の影響が強いと言われています。日頃、心配なことが多く不安になりやすいといったことは「心理的因子」になります。

「社会的因子」は、職場で責任の重いポジションに就いているといった、社会的立場が関係することや必死で頑張っている仕事の評価が低いといったことなどが挙げられます。また、帰宅しても奥さんと喧嘩ばかりで、家庭環境が良くない……といった場合も含まれます。人生全てがうまくいき、気分も晴れ晴れしている人でなければ、少なからず、このどちらかの因子に心当たりがありそうな気もしてしまいます。


思わぬことがストレスになっている!?

私も職業柄、何かのストレスが関わっていると思われる腰痛の方にお会いする機会があります。ある女性は「子供の受験のことで悩み始めた頃から腰痛がありました。ですが、悩みに対して前向きに考えられるようになってから、腰痛を感じなくなりました」と言います。

また、別の女性は「職場で人手が足りず、忙しすぎてイライラするので、これが原因で腰痛になっているのかもしれません」と思っていたようです。しかし腰痛に繋がっていたのは、別のストレス要因でした。

「いつ、腰が砕けて仕事が出来なくなるのか!?」「腰がグキっとなりそうで体を動かすのが怖い」という「腰痛への不安、恐怖心といったストレス」が緩和したことで、腰痛がかなり軽減されたケースもあります。様々な思いが腰痛に繋がっていることに気付くと、腰痛対策もまた人それぞれ変わってくると思います。


うつ病の薬が腰痛に効く!?

うつ病に処方される薬で腰痛が和らぐケースがあります

うつ病に処方される薬で腰痛が和らぐケースがあります

慢性的な腰痛が続いた場合に、抗うつ薬が処方されるケースがあります。病院の受診により、実際にうつ病の診断が出され、その治療として抗うつ剤が処方されて、結果的にその時に生じていた腰痛が改善された、というケースもあります。ですが、うつ病ではなくても、抗うつ剤の鎮痛作用が、慢性腰痛へ効果的に表れる場合もあります。

心の安定性に関わるセロトニンという脳内物質があります。うつ病の人の脳内ではセロトニン量が低下しています。生活が不規則で運動不足になりがちな人々もまた、セロトニン不足が予想されます。すぐにイライラしてしまう人は要注意です。抗うつ薬は、セロトニン濃度を安定させる役割があるとともに痛み止めとしての作用もあるのです。

長年に渡り腰痛を患っている人や、なかなか腰痛が改善されないという人は、心の緊張状態が関係している可能性があります。それは、ご自身で思っているよりも些細な出来事によるストレス反応である場合も考えられます。姿勢や動作など、身体そのものの影響ばかりを気にしていた方は、心理面からも考えてみると、腰痛の改善に繋がる問題が見い出せるかもしれません。




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