マネジメント/マネジメント事例

企業の不祥事にみる、謝罪会見のあり方とは(2ページ目)

企業不祥事に対する注目度の高まりとともに、目にする機会が増えてきた謝罪会見。この謝罪会見を含めた不祥事対応の良し悪しで、その企業に与えるダメージの大きさにかなりの違いが出ると言っても過言ではありません。ある意味、究極のリスクマネジメントととも言える不祥事対応、謝罪会見のあり方について、ガイドの記者時代の経験を踏まえて解説します。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド

「我慢強く」が鉄則

会見進行上のマナーとしては、何より大切なことは、会見を中途半端に切らないこと。「予定の時間を過ぎましたので」とか、「社長のスケジュールがありますので」とか、強烈な質問が続くといい加減会見を打ち切りたくなるのですが、とにかく我慢強く質問が尽きるまで会見を続けるのが、対マスコミ上のマナーであると言えるでしょう。

ここまでの話に共通するポイントはただ一点、「マスコミの機嫌をいかに損ねないか」ということに尽きます。まぜなら、マスコミの意思はイコール読者、すなわち利用者の意見に反映されやすいからです。マスコミを敵に回すことは、すなわち利用者を敵に回すも同然。不祥事発生から会見設営、終了までは、「マスコミが気分を害するか否か」を判断基準として対応をするのが肝要であると言うことになるでしょう。

クレーム対応に応用したい「会見3点セット」

次に会見における中身の問題です。必須事項は3点に集約されます。「反省」「原因説明」「再発防止策」の会見3点セットです。

前向きな企業をイメージさせる

前向きな企業をイメージさせる

「反省」とは、謝罪会見において単に頭を下げてお詫びをすればいいと言うことではなく、受け答えの端々に反省の色がうかがえるか否か、です。「起きてしまったものは仕方ないじゃないか」等の開き直りとも受け取られる対応や、「こっちにも言い分がある」といった攻撃的な姿勢は「反省の色なし」と受け取られるので、絶対に避けなくてはいけません。

「原因説明」は単に「調査中」ではなく、現段階で分かる範囲で極力丁寧に。仮に原因と思しきものが分からなくとも、不祥事発生までの経緯を事細かに説明するなどの説明努力は求められるところです。原因究明に向けての努力姿勢を示すことが、不祥事を起こしてもなお反省の下立ち直ろうとする前向きな企業をイメージさせることにつながります。

「再発防止策」は通常のケースでは、会見の段階では未確定であることがほとんどです。しかし、利用者の立場からすれば「原因説明」と同等あるいはそれ以上に関心のある部分がここです。とりあえず現段階で考え得る「再発防止策」との前置付きでも構わないので、必ず提示すべきです。利用者の立場で考える企業をイメージさせることになります。

最後に、謝罪会見など自社には関係ないとお考えの中小企業の皆さんへ。「反省」「原因説明」「再発防止策」の3点は、ミス発生時のクレーム対応における事態収拾の3原則とも言えます。相手がマスコミであろうと、個別の顧客であろうと基本は同じであると心得てください。
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