照明・LED/照明・LED関連情報

健康を左右する光の波長とは?(2ページ目)

最近ではLEDを利用した植物育成用の光や、不眠解消、美肌など健康に役立つ光の研究も注目されています。2010年4月に開催された「第2回次世代照明技術展 ライティングジャパン」でも一部で紹介されていました。

中島 龍興

執筆者:中島 龍興

照明ガイド

健康よりも省エネ重視!?光が人体に与える影響
 

写真3.いろいろな光源

写真3.いろいろな光源

光の波長は、私たちの健康にも大きく関係しています。しかし残念ながら今日の照明は照明器具や光源を選ぶ段階で、明るさや電気代などの経済的なことばかりが注目され、そのことはあまり取り上げられていないのが現状です。

家庭用の光はおもに蛍光灯や白熱灯ですが、最近ではそれらがLED電球へ置き換えられようとしています。異なる光源でも光色が似ていれば、一見すると同じように見えますが、実は光源の種類が変わると、含まれる波長は異なり、性質も大なり小なり違ってくるのです。

 

写真4.白熱灯の分光スペクトル

写真4.白熱灯の分光スペクトル

例えば、青色の波長領域には、睡眠に必要な成分であるメラトニンの分泌を抑制(覚醒効果がある)する効果があります。照度がほぼ同じであれば、メーカーにもよりますが、白色LEDは昼白色蛍光灯の約2倍、白熱電球の約5倍もこの領域の波長が含まれています。

現在販売されているLED電球の多くは、青色のLED素子に蛍光体を重ねて電球色や白色がつくられているため、このような結果になります。実際、睡眠や覚醒にどれくらい影響があるかはまだ研究段階で、はっきりしたことは言えませんが、例えばベッドルームで長年上記のようなLED(近い将来、改善型のLEDが市販されると思われますが・・・)で生活した場合、間接的に何らかの影響を受けることが推測できます。

 
写真5.電球色の三波長蛍光灯の分光スペクトル

写真5.電球色の三波長蛍光灯の分光スペクトル


LEDは、省エネやランプの取り換えの手間が省けるなどメリットも多く、階段や吹き抜けなど様々な場所での使用が推奨されます。また色温度が変えられたり、調光ができたりと用途や時間に合わせて、光を操作できるものもあり魅力的です。

さらに、波長領域だけでなく、明るさや眩しさも、特に目の健康に大きく関与しているため、様々な観点から照明を考えていく必要があります。今後、光源の選択肢が増える中で、健康と光の問題にも関心を持っていただければと思います。


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