夜の公園で、白鳥達の群舞。(c)Hidemi Seto
ジョナサンの白鳥はもはや名人芸!
昼の部はジョナサン・オリヴィエのザ・スワン/ザ・ストレンジャー&アンドリュー・モナハンの王子(初めてです!)の組み合わせ。ジョナサン・オリヴィエのザ・スワンは堂々たる風格。カリスマ性たっぷりで、歌舞伎なら大向うさんから「○○屋~」って声がかかりそうな、もはや名人芸ですね。登場シーンで、客席全体がハッと息を飲むのがわかったぐらい。ほんの一瞬の、あの静寂に感動しました。ジョナサンの筋肉質で大きな身体を活かしたダイナミックなザ・スワンは以前よりもスケール感が増して、悠然とした懐の深さを持つザ・スワンになったようにも感じます。王子との出会いのパ・ド・ドゥでは、動物的な臆病さもあり、王子を試し、様子を見、近寄っては遠ざかり…しかし後半では息がぴったり合い、気持ちが寄り添っている様子が伝わってきました。ジョナサンのザ・ストレンジャー役、リチャード・ギア顔で悪い男にもシビレました。
アンドリュー王子は、まだまだキャップとTシャツが似合いそうな少年そのもの。冒頭の少年時代があまりにぴったりで、世間知らずでいたいけ、愛に飢えた様子は、昨今の家族問題も思わせます。子供っぽくて物語に父親が出て来ない分、ジョナサンの大きなザ・スワンに愛情、そして父性を求めたのかなあ、と。ラストシーンはジョナサンが雛鳥を守る父鳥に見えて、結末を知っていても、どうにか孤独な少年を助けてあげてと、心の中で叫ばずにはいられなかったです。
王子を救おうとするザ・スワン。(c)Hidemi Seto