1.大企業のコーポレート・ガバナンスの改正

大企業の不祥事が相次いでいるということは、ニュースなどでお聞きになったことがあるかと思います。そこで、大企業の不祥事の対策として、コーポレート・ガバナンスに関する改正がされました。「コーポレート・ガバナンス」とは、「企業経営の仕組み」「企業統治」などと訳されますが、簡単にいうと、「どのような役員で企業を運営していくか?」などということです。

コーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンス

たとえば、「社外取締役」についての改正がされました。先進国では、一般的に、取締役会(取締役で構成されます)の中に社外取締役という企業の外部からきた役員を置くことが強制されます。外部の者を入れることにより、経営陣が法令を遵守したうえで妥当な経営を行うことを期待したものです。日本でも社外取締役を置くことはできるのですが、上場企業などの大企業でもそれは強制されるわけではありません。今回は主に上場企業を対象に社外取締役の設置を義務付けようとしたのですが、経済界からの強い反対により義務付けることまではできませんでした。しかし、上場企業が社外取締役を置かない場合には、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明する必要があると改正されましたので(改正会社法327条の2)、社外取締役の設置の促進にはなるかと思います。

上記の例に「上場企業」「大企業」などで出てくるとおり、今回のコーポレート・ガバナンスの改正の主な対象は、「大企業」(上場企業など)です。


2.親子会社関係の整備

会社法の制定時(平成17年)から親子会社関係(※)の規制には問題があると言われており、その課題が残されたまま(手をつけないまま)会社法は制定されました。
※ある株式会社が別の株式会社の株の過半数(わかりやすいように少し雑な定義としています)を持っている場合に、その「ある株式会社」を「親会社」,「別の株式会社」を「子会社」といいます。他にも「親会社」「子会社」となることはあるのですが、最も一般的な定義である「株の過半数を持っている」ということでイメージして下さい。

多くの企業は1つの会社だけで成り立っているわけではなく、「親会社」「子会社」が連携して事業を行っています。しかし、今回の改正前の会社法では、その点を考慮した規定がほとんどなく、「子会社を利用すれば不当な行為ができてしまう」という現状がありました。
よって、会社法制定直後から、親子会社関係についての改正をするべきだと言われていました。そこで、今回改正がされたわけです。


3.その他会社法施行後に浮かび上がった問題点の改正

上記「1.大企業のコーポレート・ガバナンスの改正」および「2.親子会社関係の整備」が、改正のメインテーマとしてあったわけですが、それ以外にも会社法には問題点がありました。

そこで、「その問題点も一緒に改正してしまおう」ということで、一緒に改正がされました。具体的には、「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めの登記事項化(改正会社法911条3項17号イ)「キャッシュ・アウト制度の整備(改正会社法171条の2~173条の2、179条~179条の10、182条の2~182条の6など)」など様々なものがありますが、この記事は改正会社法の概要をつかむことが目的ですので、詳細については省略します。


改正会社法の司法書士試験への影響

最後に、今回の改正会社法が、司法書士試験へどのように影響するかを記載いたします。

まず、改正内容は、これまでの司法書士試験で問われている分野に関わるものが多々ありますので、「試験範囲内の改正」と言えます。

次に、「いつから改正会社法で出題されるか?」という点について記載いたします。

司法書士試験は通常、その年の4月1日に施行されている法令に基づいて出題されます。前述しましたとおり、施行日が平成26年6月27日から1年6か月以内ですので,平成27年度司法書士試験が改正会社法で出題されるとは決まっていません。施行日は,平成27年4月1日(または平成27年5月1日)が有力なのではないかと言われています。

ただし、会社法が制定された直後の平成18年度の司法書士試験は、「4月1日に施行されていなくても、『改正法で出題する』」と法務省が事前に発表しました。

今回の平成26年改正会社法については、まだ法務省から何も発表がありませんが、各予備校は上記の事情を総合的に考え、「平成27年度は,9割方,改正会社法で出題されるだろう」ということで、改正会社法に対応した講座を実施しています。

「確実に改正会社法で出題される」とは、現時点(平成26年9月11日現在)では申し上げられないのですが、最低限どのような事項が改正されたのかということは把握しておいたほうがよいと思います。




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