司法書士の収入

司法書士試験に合格後、司法書士事務所に就職した場合にどの程度の収入を得らえるのかということは、合格後についてのみなさんの最大の関心事であるかもしれません。
ほとんどの予備校や講師は、講座をご受講していただくために、その資格を取得した後の話として「良いことしか」言いません。しかし、ほとんどの方は、月の収入から家賃やローンの支払をし、駐車場代の支払をし、食費の支払をし、お子さんの学費を支払うわけです。私は、そのことを強く自覚したうえで、司法書士の年収・月収の「実際」をお話しします。


勤務司法書士の収入についての統計データは乏しい

「事務所勤務の弁護士の平均年収は○○円だ」「大学教授の平均年収は○○円だ」といった話を聞いたことがあると思います。その数字の根拠は、(アンケート調査が根拠の場合もありますが)多くは厚生労働省が実施している「賃金構造基本統計調査」です。
しかし、勤務司法書士は開業者とみなされているためか、この調査の対象となっていません。よって、勤務司法書士の収入については、公的な統計データはありません。

そのため、この記事で示している数字は、「求人票の定点観測」「司法書士試験合格者へのヒアリング」「司法書士のエージェント会社へのヒアリング」などを基にしている点はご了承ください。

※なお、開業司法書士については、「売上金額等(確定申告額)」「所得金額等(確定申告額)」について、1,000名以上のアンケート結果があります。それについては、開業司法書士の年収は? 開業ってどうなの?に記載しましたので、開業司法書士について気になる方はご覧ください。


司法書士の月収

司法書士事務所の初任給は、大きく以下のように分かれます。

・東京の事務所、東京以外の大規模事務所 → 月収25万円~30万円
・それ以外の事務所 → 月収20万円

※司法書士事務所は小人数であることが多いため、10人以上の事務所を「大規模事務所」、10人未満の事務所を「小規模事務所」としています。
※東京の事務所でも月収20万円の事務所もあり、それ以外の都道府県の小規模事務所でも月収20万円を超えることはあるため(月収10万円台となることもあります)、すべての事務所がこの月収であるわけではありませんが、だいたいこの程度の月収であるとのイメージをお持ちいただければ大きな間違いはありません。

東京以外の都道府県にお住まいの方も多いでしょうし、司法書士事務所のほとんどは10人未満の小規模事務所ですので、上記の「それ以外の事務所」に該当する方が多くなると思います。そうすると、月収20万円ですです。では、一般企業のように、「40代で妻子もいるから、月収40万円スタート」など、年齢を考慮してくれるのかという問題ですが、私はそのようなことは聞いたことがありません。40代の方でも、月収20万円スタートとなります。

司法書士の年収・月収

司法書士の年収・月収

司法書士の就職司法書士の就職・転職のプロに聞いた!就職状況の実際の記事で、「就職には非常に強い資格」とご説明しましたが、初任給は夢のない数字となっております。よって、扶養家族がいらっしゃる方など、月収20万円では生活が成り立たない方は、ある程度貯蓄をされてから司法書士事務所に就職されることをお薦めします。


司法書士の年収

年収を考える上ではボーナスの多寡がかなり影響します。しかし、ボーナスが出るかは事務所によって異なります。一般企業と同じですが、利益に左右されます。ボーナスが出る事務所でも、大企業のように3か月~5か月分のボーナスが出るなどということはあまりなく、1か月分しか出ないことも多いです。よって、ボーナスについては、大きな期待をされないほうがよいでしょう。

そうすると、年収は以下のようになります。

・東京の事務所、東京以外の大規模事務所 → 年収300万円(月収25万円×12か月)~360万円(月収30万円×12か月)
・それ以外の事務所 → 年収240万円(月収20万円×12か月)
※ボーナスは出ない前提で記載しています。ボーナスが出た場合は、年収が上がります。

サラリーマンの平均年収を下回っていますので、これも夢のある数字ではありません。

それでは、司法書士事務所の中でキャリアを積み、収入が上がっていくかという問題ですが、一般企業のように年功序列で収入が上がっていくシステムはありません。数年で独立または他の事務所に移る司法書士が多いため、そのようなシステムが構築されないのだと思われます。勤務司法書士でも、年収1000万円を超える方はわずかにいますが、それは「自分で大きい仕事を取ってきている」「その人がいないと事務所が潰れる可能性がある」というほどの人であり、一般的ではありません。

よって、高い年収を望むのであれば、通常は「開業」ということになります。


初任給が上がる可能性

収入が上がる?

収入が上がる?

少し厳しい数字が並びましたが、今後、初任給が上がる可能性はあると考えています。なぜなら、近年は合格者が減少し、都市部を中心に資格者が足りなくなってきているからです。司法書士業の場合、資格者しか行えない業務がありますので、物理的に一定数の資格者が必要となります。そのため、採用条件を下げている事務所が増えてきています。たとえば、「これまでは40代までしか採用していなかった事務所が、50代でも採用する」などということが増えてきています。なかなかすぐに初任給を上げるとこまではいきませんが、今後も資格者の不足が続けば、資格者を確保するために都市部の事務所を中心に初任給を上げざるを得なくなるのではないかと思います。


勤務司法書士の現実

「初任給が上がる可能性もある」とは書きましたが、その前の夢のない数字が現在の勤務司法書士の「現実」です。私は、このような現実は司法書士試験に合格する前に知るべきだと考えています。たとえば、お子さんが私立の中学に通うのであれば、上記の年収だけでは、学費を支払ったうえで生活することはまずできないと思います。そういったことも理解されたうえで、人生設計を考え、この資格をめざすかを決めてください。