キャリアアップを国が支援する、教育訓練給付金
秋から拡充される教育訓練給付制度を活用して収入アップを目指そう!
会社に勤めている人が入っている雇用保険では、働く人の主体的なキャリアアップへの取組をサポートして、雇用の安定や再就職を実現するために「教育訓練給付金」の制度があります。現在の教育訓練給付金の制度では、厚生労働大臣の指定する、簿記資格や英会話、ファイナンシャルプランナーなど、キャリアアップにつながる講座を受講し修了することで、受講費用の2割(上限10万円)を給付する制度です。平成24年度の教育訓練給付金の受給者数は約13万人(男性6万人、女性7万人)で、比較的利用者数の多い制度です。ガイド平野も、サラリーマン時代にこの教育訓練給付金制度を利用した経験があります。
平成26年10月1日から教育訓練給付金が拡充
■給付率が2割から4割に拡大、上限金額も10万円から最大144万円に平成26年10月1日より、教育訓練給付金の給付内容が拡充されます。新しい制度では、従来の教育訓練を一般教育訓練とし、新たに中長期的なキャリア形成を支援するために専門実践教育訓練を設けました。厚生労働大臣が指定する専門的・実践的な講座を受講する場合、受講費用の4割(現行2割)に給付率を引き上げ、さらに資格取得等の上で就職に結びついた場合は、受講費用の2割を追加して受給できるようになります。
その結果、給付金の上限金額が10万円から144万円に拡大されます。難易度の高い資格や専門的な技能を習得するための講座は、費用も高めで、受講期間も伸びることに配慮した制度となっています。また、単に受講しただけではなく、資格取得をし、雇用された場合は、追加で2割支給するというインセンティブを与えるのも面白い試みだと思います。
一般教育訓練と専門実践教育訓練の比較
■専門実践教育訓練の対象者
専門実践教育訓練に対する教育訓練給付金の支給対象となる人は、教育訓練給付制度を初めて利用する場合は、2年間の雇用保険の被保険者期間が必要になります。また、2回目の利用の場合は、前回の教育訓練(一般も含む)の受講開始日から、10年間の被保険者期間が必要になります。一般の教育訓練の場合は、初めて利用する場合は1年、再度利用する場合は、前の教育訓練給付金の受給から3年経過となっています。専門実践教育訓練の方がより条件が厳しくなっていますので、利用の際は、慎重に検討する必要があります。
■専門実践教育訓練の対象講座
専門実践教育訓練は、中長期的なキャリア形成のための専門的・実践的な講座を厚生労働大臣が指定します。そのため、大きく3つに分類されます。
1. 業務独占資格・名称独占資格の取得を訓練目標とする養成施設の課程
●対象となる業務独占資格
助産師、看護師、准看護師、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、言語聴覚士、臨床工学技士、義肢装具士、救急救命士、歯科衛生士、歯科技工士、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師、柔道整復師、美容師、理容師、測量士、電気工事士、建築士、海技士、水先人、航空機操縦士、航空整備士
●対象となる名称独占資格
保健師、調理師、栄養士、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、保育士、製菓衛生師
2. 専門学校の職業実践専門課程
専修学校の専門課程のうち、企業などとの連携により、最新の実務知識などを身に付けられるよう教育課程を編成したものとして、文部科学大臣が認定したもの
3. 専門職大学院
高度専門職業人の養成を目的とした課程(MOTなどのビジネススクール)
平成26年10月開校となる専門実践教育訓練の指定講座が、8月18日に公表されました。指定講座は、【コチラ】(厚生労働省HP)でご確認ください。(指定講座は、順次公開されます。)
平成27年4月開講分も掲載されていますが、その内容をみると、法科大学院も指定されているので、今後は弁護士や公認会計士など、高度な職業専門人になるための講座も増えていくものと思われます。キャリアアップだけではなく、キャリアチェンジにも、新しい教育訓練給付制度は使えるでしょう。
離職中の教育訓練には手当て追加
また、今回、新たに教育訓練支援給付金制度も創設されました。この制度は、45歳未満の離職者が専門実践教育訓練を受講する場合、訓練中に離職前賃金に基づき算出した額(基本手当の半額)給付するものです。これは、平成30年度までの暫定措置なので注意が必要です。>>お得な教育訓練給付制度、利用をする前に考えるべきことは?