香港人が上海に開いた高感度な日本酒バー

1階

「外からの優れた文化を受け入れる街だから」との理由で、上海にオープン。2014年春に1階をリニューアルし、バーカウンターを新設。


上海では年々、日本酒が注目を集めています。日本料理の人気とともに関心が高まり、高級銘柄を置くお店が増えています。中国全体での輸入額はこの10年でなんと約5倍にアップ。最近は地元のメディアでも日本酒特集が組まれるようになってきました。

中国で日本酒が飲める場所はこれまではほぼ日本料理店に限られていましたが、実は今、上海のある日本酒バーが話題になっています。その名も「Cordurov(鋭壹堂)」。
場所は旧フランス租界エリア、閑静な復興西路に佇んでいます。建物は昔の洋風住宅をリノベーション。お店はバーというより「Sake Gallery」とうたっており、余計な装飾を削ぎ落としたシンプルな空間は、まさにアートスペースのような雰囲気です。

日本酒の棚

グラス売りの日本酒は、日替わりで3~4種類を用意。どの種類も一杯98元。

ここのオーナーは建築家でもある香港人のRay C. Cheng氏。アメリカの大学で建築を学んでいたときに研修で日本を訪れ、日本酒の魅力に出会ったといいます。建築の仕事を経てワイン事業も手がけるようになり、2012年、上海で日本酒バーをスタートさせることに。
オープンにあたり、Ray氏は日本各地の蔵元を訪ね歩き、直接交渉。静岡の名蔵元・初亀醸造から快諾を得て、中国での代理を行うことになります。初亀といえば秘蔵純米大吟醸「亀」は日本でも幻の酒といわれるほどレアもので有名ですが、この希少なお酒もCordurovで飲むことができるのです(ただし、非常に高価です!)。

初亀醸造のお酒以外にも、「黒龍」、「米しずく」、「七田」、「雑賀」、「黒牛」などの銘酒を3~40種類取り揃えています。造り手の個性と手づくりのぬくもりが感じられる少数生産のお酒をメインにセレクトしているとのこと。中国では日本酒はほとんどがボトル売りですが、ここでは一杯売りも数種類用意しています。


洗練の空間で、ワインのようにSakeを楽しむ

日本酒のグラス

異国情緒の漂う空間で日本酒のグラスを傾けていると、つい飲み過ぎてしまいます……が、酔いつぶれたり、騒いだりする人はいないので周囲の雰囲気をこわさないように楽しみましょう(と、自分に言い聞かせる)。


種類にもよりますが、基本的には冷やした日本酒をワイングラスに注いでサーブするのが、ここの特徴。
「いい日本酒にはワインに似た特性を感じます。ワイングラスに注ぐことで、お酒の持つ香りや個性がより引き立つと思っています」と、Ray氏。
前述の「亀」のように果実香のある日本酒の場合、まるで優雅な白ワインを飲んでいるような感覚になります。ぬる燗や熱燗と自己流にオーダーするよりも、外国人が解釈したSakeの魅力を堪能するのが、このバーのスマートな楽しみ方かもしれません。

3階

月夜の下で日本酒を味わっているような気持ちになる、3階のテーブル席。(写真提供/Cordurov)

オーナー自らリノベーションしたインテリアも見もの。アート作品のように並べられた日本酒をはじめ、絶妙な角度で表情をつけるバーカウンター、灯篭のようなランプなど、空間の細部にまで美学が貫かれています。照明を極端に落とした2階と3階のスペースも妖しげな魅力が漂い、いい意味で日本酒バーのイメージが裏切られます。

お客さんは日本人に限らず、中国人や欧米人も多く、かなりインターナショナル。とりわけイケメンのRay氏がお店にいる日は、おしゃれな中国人女性率がやたらと高い!
日本酒以外のお酒も用意。シングルモルトが渋い品揃えで、こちらもウイスキー好きは要注目です。「各国の生活文化を理解しあう場所にしたい」、と語るRay氏の思いが表れています。

ランプ

ランプも幻想的。団体で利用する際は事前に予約を。(写真提供/Cordurov)

関税等がかかるので、日本酒の値段は当然ながら高くなります。海外でわざわざ飲まなくても、と思うかもしれませんが、日本で飲む味わいとは印象が変わるはず。通常はお酒のみですが、前もって食事の予約をすれば上海料理と日本酒のマリアージュを楽しむことも可能。洗練されたSakeの魅力を再発見できる、上海の夜のマストスポットです。

<DATA>
Cordurov(鋭壹堂)
住所:上海市徐匯区復興西路76号
TEL:021-6437-9088
営業時間:19:00~深夜 日曜休
アクセス:地下鉄「常熟路」駅より 徒歩13分



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※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。