2012年『BADGIRLS meets BADBOYS』公演より (c)瀬戸秀美
個人に焦点を当てて見られるよう、少数精鋭キャストで
——日本でも、バレエは高尚でアカデミックな芸術だからと、敷居が高いイメージがあります。バレエはとても真面目だし、多くのコンテンポラリーダンスもとても真面目。特にコンテンポラリーは一体何をしているのか、理解しづらいものも多い。こっちの手がここにあり、もうひとつはあっちで、では何を意味しているのか?僕たちのショーは楽しくて、ただハッピー。それでも、ダンサーたちはすごく難しいステップを取り入れて、毎日汗かきつつ、一生懸命に練習して技術を磨いている。その技を使って、人々をハッピーにできればいい。それだけ。
——「Bad Boys of Dance」というカンパニーの名前は、マイケル・ジャクソンから来ているのですか?
確かにマイケルには「BAD」という名曲があるね。 「BAD」という曲は僕にたくさんアイディアを与えてくれる。僕はマイケルのことは最高のエンターテイナーとして尊敬しているからね。また、アメリカで“Bad”はクール、カッコいいという意味でも使われる。つまりカッコいい男子たちという意味もある。
——メンバーは何人?
今回、『Rock the Ballet2』で踊るのは7人。男子6人と女子ひとり。最初、しばらくは男子だけのショーをやっていたけど、ドラマを作るのに友達、兄弟…うーん、何かが抜けている。あ、女の子が必要だって気づいたんだ。
——少数精鋭ですね。
巨大なプロダクションのバレエ作品、60人のダンサーによる群舞は確かに美しい。だけど、もし観客が「あの3番目の女の子は誰?」「5番目は?」と興味を持っても、誰が誰だかわからない。大勢すぎて。僕はダンサーの人数を少なくして、「あの筋肉がしっかり付いたダンサーが素敵」「ターンが上手な、あの人がいいな」「私は高くジャンプする人が一番好き」と、観客がキャスト個人に焦点を当てて見られる作品にしたい。ダンサーが誰が誰なのか、ちゃんと伝わるようにしたいんだ。ダンサーは一生懸命に練習して、舞台で頑張って踊っても、「見つけられなかったわ」では悲しいでしょう?僕はもっと個人的なつながりを大切にしたい。それは大作バレエではできないことだしね。
——ダンサーたちは皆さん、バレエ出身?
フロリダ、カリフォルニア、ラスベガスと、さまざまなところから来ていて、バレエからスタートしている人が多い。アメリカのダンススクールは大抵バレエだけでなく、ジャズ、ヒップホップ、コンテンポラリーと様々なスタイルのダンスを学ぶスタイルなんだ。最も重要なのは、テクニックの基礎を作ること。またひとつだけでなく異なるスタイルへの可能性を持つこと。カリスマ性や人間性はとても大事で、面白いか真面目かは関係ない。見た目の良さは助けになる。個性のも大切だね。人種は関係ないけど、感性があるかどうかは重要。