「大人っぽい」のはよいことか? 欲求を素直に表現する「わがまま」も大切
大人っぽい子は、しっかり者でよいと思われがち。しかし、「子どもっぽくしてはいけない」という思いを抱えていることも……
気に入った物があれば、それを使っていつまでも夢中で遊び、取り上げると泣きじゃくる。大好きなことにはのめり込む一方で、好きでないことはなかなかやろうとしない。
こうした子どもの行動に振り回されると、大人たちはほとほと疲れてしまいますよね。「うちの子は、自由すぎるんじゃないかな?」「わがままなのかしら?」などと考えこんでしまうこともあるかもしれません。
このような「大人っぽい子」は、「きょうだい思いの優しい子」「聞きわけのいいしっかり者」などとほめられ、頼りにされることが多いかもしれません。すばらしいことではあるのですが、周囲に気を遣いすぎるあまりに、自分の本音に気づかないまま成長している可能性があるかもしれません。
こうした大人っぽい子の心には、幼い頃からあるメッセージが刷り込まれていることがあります。それは、「子どもであるな」という「禁止令」です。
大人っぽい子の潜在意識にある「子どもでいてはいけない」というメッセージ
「禁止令」とは、自分の思考や行動を禁止する「○○してはいけない」という心の深層に潜んでだメッセージ。「交流分析」という心理学理論の中の概念です。禁止令は幼い頃から無意識のうちに心に沁みついていった自分の思考や行動を制限する考え方です。たとえば、本当は甘えたいのに、親はきょうだいの世話で忙しいから、甘えられない。本当はほしいものがあるのに、それを言える雰囲気ではないからがまんしている。こうしてがまんをしつづけていると「聞き分けのいい子ね」などとほめてもらえるので、ますます自分の本音を出さないようになる。こうした繰り返しのなかで、いつしか自分は他の子たちのように甘えてはいけない、欲しがってはいけないといった禁止令が刷り込まれ、感情を表現することを最初からあきらめてしまうことがあります。
こうした禁止令などの影響を受けて、幼い子が「自分はこうして生きていこう」という生き方の指針を決めることを交流分析では「幼児決断」といいます。この幼児決断は、本人の潜在意識のなかに刷り込まれているため、知らず知らずのうちに本人の価値観、思考の癖として心に根付き、しばしば「生きづらい思い」として残りつづけてしまいます。
「幼児決断」は大人になっても影響を及ぼし、生きづらさを生むこともある
この「幼児決断」は、思春期や青年期、そして大人になってからの生き方にも大きな影響を与えていきます。たとえば、進路選び、就職先を決める際などに、自分のやりたいことが分からず、「周りの大人が喜んでくれそうな進路」「『あなたに向いている』と言われたから決めた職業」などを選んだりすることがあります。
そうした人は、幼い頃から「自分らしさ」を見失っていることがあり、そのために何をしても心から楽しめない、満たされない気持ちが心の中に張り付いていることがあります。大人になってから自分の本音に気づき、生き方を選びなおしていくこともできますが、幼い頃から自分の本音を理解し、やりたいことを自分で選んで生きてこれた方が、その先も自分らしい人生を歩んでいくことができるようになるのではないかと思います。
そもそも、子どもならではの自分本位な欲求や大人に思いきり甘えたい欲求は、どの子どもにもあるものです。その気持ちをしっかり認めて「自分の思ったことを伝えていいんだよ」と温かく伝えてあげることで、子どもは楽な気持ちで成長していくことができます。
限られた時間のなかだけでもいいのです。ぜひ、子どもの素直な気持ちを引き出しながら、子どもが自分らしく生きられるように導いていただけたらと思います。







