おいしい栗と美しい景色
ローマ郊外、南東30kmに位置するカステッリ・ロマーニには、魅力的な街が点在しており、ローマっ子たちの身近な日帰りお出かけスポットです。今回は、その中でも「栗の街」として有名なロッカ・ディ・パーパ(Rocca di Papa)で毎年10月中旬に開催される栗祭り(Sagra delle Castagne)を紹介します。
海抜680メートル、風光明媚なことでも有名なロッカ・ディ・パーパは、栗祭りの3日間、街中が栗一色になります。ちょうど紅葉の美しい季節でもありますので、おいしい栗と素晴らしい景色が同時に楽しめるのです。
街中が栗だらけ
街に足を踏み入れる前から、通りには特設の屋台が並んでいます。生の栗そのものを売っていたり、栗を使ったお菓子や、ジャムを売っていたり。街中のお店が店先にテーブルを出し、お祭り限定の栗にちなんだ商品を販売します。たとえば、飲食店でないお店は、軒下に栗の枝を飾って祭りに参加しています。
町の広場では焼きたての栗がその場ですぐ食べられます。この地方の栗は小ぶりなのが特徴。焼き栗のことはカルダッロステ(caldarroste)といい、ワイン1杯がついて2.50ユーロくらいと、ローマの街中では考えられない価格です。
特に栗好きでない方も大丈夫。この時期の名物料理、ポルチーニ入りポレンタもあちこちの食堂や屋台でを出されています。そのほか、ソーセージや豆料理、ポルケッタ(焼いた子豚)もお勧めです。ドリンクはもちろん有名なカステッリ・ロマーニのワインで。
甘党の皆様にはカスタニャッチョ(Castagnaccio)という伝統的な栗のお菓子がお勧めです。いかにも手作りといった素朴な外見のお菓子で、屋台で切り売りしています。栗の粉を使っているので、こげ茶色をしています。そのまま食べてもよし、少々温めて、ホイップクリームを添えてもよしです。一緒にチャンベッラ・デッリ・スポージ(Ciambelle degli Sposi:新郎新婦のリング型ビスケット)を売っていることが多いのは、ロッカ・ディ・パーパの特産品だからです。もともとは新郎新婦が招待客や親戚に配るビスケットで、ラツィオ州の伝統製品として承認されています。
次は栗拾いに挑戦
街を歩いていると、あちこちに栗が落ちていることに気づきます。これは商品の栗が落ちているのではなく、街に自生する栗の木から落ちたものです。街を少し出れば広大な栗林が広がります。お腹いっぱいになったら、腹ごなしに栗拾いに挑戦してはいかがでしょう。
街の高台にある栗祭り会場の広場横の道を上っていくと、栗林が始まります。地面にはそこらじゅうに栗が落ちていますので、しばし童心に戻り栗拾いに熱中すること請け合いです。ただ夢中になって迷子にならないように…。栗拾いをするつもりで出かける方は、軍手と袋を持っていくと便利です。拾うときには虫食いにも注意です。さもないと、持ち帰った栗から数日後に大量の芋虫が発生して悲鳴をあげることに…(体験談)。
夜まで遊んでしまったら
栗祭りは昼だけでなく、夜も続きます。暗くなった街中では、栗を焼く火の明かりでまた違った雰囲気を楽しめます。テラスから遠方に見えるローマの夜景をめでるのもいいでしょう。街の高台にある地球物理学博物館(Museo di Geofisica)のあたりからは、さらに素晴らしいパノラマが楽しめます。
街の下にある広場では、ステージを作って毎年コンサートなどが行われます。人気俳優ニーノ・フラッシカのバンドNino Frassica & Los Plaggers Bandなど、けっこう大物が出演することもありますので、要チェックです。最終日のフィナーレで花火大会を催すこともあります。
標高が高いため夜には気温もかなり下がりますので、防寒具を持ってお出かけください。帰りの足の確保も忘れずに。COTRAL社のローマ行き最終バスは19時台ですので、その後はタクシーで。市営タクシーサービス(Comune di Rocca di Papa - Servizio Taxi): Piazza Della Repubblica 1, tel: 06 9497827
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■サグラ・デッレ・カスターニェ(Sagra delle Castagne)
場所:ロッカ・ディ・パーパの街じゅう
時期:毎年10月の第3週末(金、土、日)
時間:金曜は大体17:30から、土日は11時から
問い合わせ:Pro Loco Rocca di Papa(info@viviroccadipapa.it)
アクセス:地下鉄A線Anagnina駅前バスターミナルよりCOTRAL社のバス。
2014年の栗祭りは10月17、18、19日に開催します。最終日19日の22時には花火大会があります。詳しいプログラムはロッカ・ディ・パーパ市のサイトをご覧ください。