スウェディッシュデザインの老舗、スヴェンスク・テン/Svenskt Tenn
店内には洗練されたスウェディッシュデザインがあふれています 写真:Svenskt Tenn
スヴェンスク・テンはスウェーデン語で「スウェーデンの錫」という意味、たくさんの錫を使った製品がならんでいます 写真:Svenskt Tenn
スヴェンスク・テンは、ストックホルムのエステルマルムエリアにある、スウェーデンでも老舗のインテリアデザインショップ。美術教師として働いていた一人のスウェーデン人女性、エストリッド・エリクソンによって1924年に創業されました。スヴェンスク・テンというショップの名前は、スウェーデン語で「スウェーデンの錫(すず)」という意味で、その名の通り、錫アーティストのニルス・フォーグステッドとエストリッドの工房から作品が生み出されたことに始まります。その製品の質の良さが人々の評判になるのに時間はかからず、既に1928年にはスウェーデン王室御用達のお店として登録されました。1925年と1937年にパリで、1939年にニューヨークで開かれた国際展示会でその名を世界に広め、現在に至ります。
ヨセフ・フランクのデザインなどのテキスタイルも購入可能 写真:Svenskt Tenn
1930年代に入ると、家具などインテリア全般を手がけるようになった、最も大きな転換期は、1934年。オーストリアの建築家兼デザイナー、ヨセフ・フランク(Josef Frank)がスヴェンスク・テンに関わるようになります。彼は、死ぬまでスヴェンスク・テンで働き、160にのぼるテキスタイルのデザインと2000以上の家具のデザインを残しました。彼の生み出す洗練されたデザインを、プロデューサー能力の長けたエストリッド・エリクソンが形とした二人のコンビネーションは、老舗の発展にはなくてはならなかったものなのです。
永遠に受け継がれていく、スウェーデンの職人技とデザイン
スウェーデンの職人の技が行き渡っているスヴェンスク・テンの製品はどんな人の生活にもなじみます 写真:Svenskt Tenn
スヴェンスク・テンが、他の多くのデザインショップと最も異なる点が、財団によってお店が運営されているということです。財団の唯一の目標は「スヴェンスク・テンが永遠にこの世に存在すること」であり、利益は、全て研究や研修、文化などに用いられています。他のデザインショップとは全く異なるこの土台と目標により、スヴェンスク・テンは、常に品質を最重要視し、長期的な視野で運営を展開しています。この企業精神には、創業者エストリッドのスウェーデン職人と工芸技術を愛する思いが深く関わっており、今でも可能な限りの国内生産にこだわり、スウェーデンの職人さんによって一つ一つ大事に製品が作られています。
スヴェンスク・テンといえば、この象のデザインです 写真:Svenskt Tenn
スヴェンスク・テンを象徴するデザインとして有名なのが、創業者エストリッドがデザインした「エレファント(Elefant)」です。世界中を旅した彼女は、コンゴを訪れた際に象の愛情深さに引かれ、エレファントをデザインしました。このエレファントは、現在でも多くの人々に愛されています。
エレフェンと並び、忘れてならないのが、ヨセフ・フランクのスウェーデンの自然や動物をモチーフにしたテキスタイルです。自然からインスピレーションを受けた色鮮やかなデザインは、多くの人々に今でも愛され続けています。店内におかれている商品の80%がヨセフを始めとする自社デザインによって作られています。
ティーサロン
ヨセフ・フランクのデザインのランチョンマット、スヴェンスク・テンのデザインであふれたティーサロンで飲むお茶は格別 写真:Svenskt Tenn
スヴェンスク・テンの2階の一角にあるのが、ティーサロン。エストリッドは紅茶を好み、1日2回のお茶の時間を大事にしていました。そんな名残は、メニューにあるエストリッドの砂糖菓子とお茶のセットにも見受けられます。買い物を済ませた後、デザインに浸りながら飲む紅茶は格別です。
〈DATA〉
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スヴェンスク・テン/Svensk Tenn
住所:Strandvägen5, 114 51 Stockholm
TEL:+46(0)8-670 16 00
営業時間(店舗):月~金曜10:00~18:00、土曜 10:00~16:00
営業時間(ティーサロン):月~金曜11:00~17:30、土曜 10:00~15:30
定休日:日曜