第1位 天才ドラマー トニー・ウィリアムスのオーケストレーション「ワイルダーネス」より「ワイルダーネス・ライジング」
Wilderness
ファンからすれば、突然の死に思えたトニーの訃報でした。(享年51歳)しかし、このCDを聴くと、音楽家としてのトニーはある程度やりつくしたのではないか、とも思えるほど内容の濃いものです。
このアルバムは、テーマを「荒野」(ワイルダーネス)としたコンセプトアルバムです。それゆえに、どの曲もトータルの繋がりの中で聴いていくのが本当です。そして1曲目「ワイルダーネス・ライジング」を始めて聴いた時の驚きは、今も忘れられません。
そこに広がった見事なオーケストレーションが、トニー本人によるものだったからです。10代でデビューした早熟な天才ドラマー、トニー。ドラムの世界だけではなく、音楽をトータルに捉えることができる才能の持ち主だったことは明らかです。とても余技とは言えないオーケストレーションの完成度に、感動をおぼえます。
続く曲は、トリオやクインテットなど従来のフォーマットの中で、今度はドラマーとしての冴えを見せる曲作りになっています。そして、随所にオーケストレーションが、サウンドに落ち着きとまとまりを与え、トータルでのコンセプトが際立った音世界を見事に構築しています。
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ドラマーとしての、トニーの最高作はというと、やはりマイルス・デイヴィスとの1964年のこのアルバムになります。
マイルス・イン・ベルリン
当時のトニーは18歳。デビューして間もないトニーにインスパイアされたマイルスが、どんどん先鋭化していくのがわかる名盤です。ピアノのハービー・ハンコックとベースのロン・カーターとのトリオはスリリングの一言。
当時文字通りジャズ界の帝王だったマイルスに、「もっとトランペット練習してください」と言えた唯一のメンバーだった、恐るべき18歳のトニー。その口だけではない雄姿がこのアルバムで聴くことができます。
今回の一流ミュージシャンの余技、いかがでしたか?もはや余技とは呼べない名演揃いでしたね。また機会があれば、ジャズメンの素晴らしい余技をご紹介いたします。それでは、また次回お会いしましょう!
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