【怖さレベル5】 肌のお手入れ必須の妖怪『わがはいは のっぺらぼう』
日本で最も有名な妖怪の1人・のっぺらぼうの優雅な日常(?)を描いた絵本が、『わがはいは のっぺらぼう』です。表紙絵ののっぺらぼうは、和服を着た女性なのになぜ「わがはい」というのでしょうか? それはこの女の人の顔が「のっぺら筆」で描いた今日だけの顔だからなのです。彼(?)はこれをメイクと言っています。そんなのっぺらぼうの1日は洗顔とパックで始まります。歯みがきは口がないのでしないのだそうですよ。そしてお待ちかねのメイクアップ。のっぺら筆さえあれば、老若男女どんな顔にも早変わり。万一メイクに失敗しても、「のっぺら手ぬぐい」で拭き取って書き直せばよいのですからうらやましい……。今日は、べっぴんさんの顔を描き、人間を驚かせるために出かけていきました。
夜も更けて、歩いてきた男を驚かそうと手ぬぐいで顔をふき取り、あとは驚かすだけと待ち伏せします。1、2の「バアッ」と顔を出せば、何と相手は一つ目小僧! この時の2人の顔が怖いったら怖い! それはもうとっても怖いのです。それまでのユーモアいっぱいの語り口に騙されてはいけません。クライマックスで顔を見せる妖怪の恐ろしさに、読者は本当にビクッとさせられます。
さて、こののっぺらぼうさん、「仕事は失敗したけれど、家に帰って一風呂浴びれば元気も回復。」と言いますが、どうしてどうして仕事は失敗などしていませんよ。絵本の読者をこれだけ驚かせたのですからね。物の怪の本領を発揮したその恐ろしさに【怖さレベル5】を進呈します。
【書籍DATA】
富安陽子:文 飯野和好:絵
価格:1404円
出版社:童心社
推奨年齢:4歳くらいから
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【怖さレベルMAX】 取扱いにはご注意ください?!『大接近! 妖怪図鑑』
一つ目小僧が、真っ赤な舌をちょろりと出してあっかんベーをしています。その表紙を見ただけで泣き出す子がいるかもしれません。それでも怖いもの見たさに表紙を開けば、薄墨色で描かれた怖ろしい妖怪たちが見返しに並び、まるで円山応挙の幽霊画のようです。怖い……。そこをグッと我慢してページを進めれば、今度はタイトル通りに大接近した妖怪たちのアップの顔が迫ってきます。しかも図鑑という名にふさわしく(?)妖怪の大きさや生息地、得意なことや好物などもしっかり記載されているのですから、嬉しいやら怖いやら……。お子さんには怖すぎておすすめできないかもと思ってしまいます。
ところが、意外にも「怖い! 怖い!」と顔を覆いながら、実は指の隙間からそうっとみている子どもたちがたくさんいるのですから不思議です。人を襲う妖怪ばかりでなく優しい妖怪やいたずら好きの妖怪なども紹介され、充実のラインナップとなっていることが人気の理由なのかもしれません。だからといって油断してはいけません。後ろ見返しには、ほら、またあの恐ろしい妖怪が……。
【書籍DATA】
軽部武宏:作
価格:1620円
出版社:あかね書房
推奨年齢:5歳くらいから
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