金魚のアカさん、盆踊りに興じるの巻
フーちゃんが飼っている金魚のアカさんは、その名の通り真っ赤な金魚です。だから、誰でもアカさんは金魚鉢の中にいると思っています。もちろんそう思うのが普通です。でも、アカさんはそんな普通の金魚ではありません。以前にご紹介した時も、アカさんは得意の2足歩行を活かして遠足に行きました。(「遠足がもっと待ち遠しくなる絵本」より) 今回は下町のお祭りで盆踊りに興じるらしいのですが、さてどうなりますことやら……。全く普通でない金魚・アカさんのお話のはじまり、はじまり!
太鼓の音も調子よくお祭りの夜は更ける
おかっぱ頭のフーちゃんが、お母さんに浴衣を着せてもらっています。今日からフーちゃんの住む町はお祭りなのです。浴衣の柄は真っ赤な金魚。フーちゃんの金魚愛を感じますね~。そんなフーちゃんは、例によってアカさんと近所の友だちを誘いお祭りに出かけました。夜店の屋台を見て回り、金魚すくいを始めれば、なんとそこにはアカさんの旧友たちが勢揃い。おしゃべりに花を咲かせるうちに、やぐらの周りでは盆踊りが始まります。恥ずかしがって踊りの輪になかなか入れないフーちゃんたちを尻目に、アカさんはもう踊っていますよ!
アカさんには「金魚は泳ぐ」という固定観念も打ち砕かれますね
最初から、もう一度じっくり絵を見返してみるとやっぱりありました! あちらのページにもこちらのページにも、高部さんの遊び心いっぱいの絵があふれています。例えば、下谷神社と書かれた祭り提灯がかかる玄関には、「高部晴市」と書いた表札がありますし、夜店が立ち並ぶその向こうの木の陰にはなぜか忍者が身を潜めています。
レトロな雰囲気に騙されず(?)隅から隅まで絵を眺めれば、他にも色々楽しい発見ができるはずです。それにしても、何度読み返しても納得できないなことが1つだけあります。それはアカさんの大きさです。ある時は金魚鉢の中で泳ぐほど小さいのに、別の時にはフーちゃんの腰の高さ程の大きさがあるのです。いやあ、アカさんは何から何まで本当に普通でない金魚なのですね。きんぎょのアカさんシリーズ(※)の他作品もあわせてどうぞ。
【書籍DATA】
高部晴市:作
価格:1404円
出版社:フレーベル館
推奨年齢:3歳くらいから
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※ きんぎょのアカさんシリーズの他作品
『きんぎょのおつかい』
→ アカさんのルーツともいうべき、与謝野晶子原作のナンセンス絵本。
『きんぎょのかいすいよく』
→ アカさんが日焼けしちゃった?! 海水浴の1日をゆる~く描きます。
『きんぎょのうんどうかい』
→ 青空のもと、トラックを疾走するアカさん。まさにスーパー金魚です。
『きんぎょのえんそく』
→ 「遠足がもっと待ち遠しくなる絵本」 ご参照ください。
『きんぎょのおうち』
→ いつもとは逆に、フーちゃんが金魚鉢の中へ! それだけでも事件です。