優待新設発表直後が狙い目!
桐谷さんが欲しい銘柄
しかし実は、そんな桐谷さんも日々目を光らせて動向を注視している銘柄があるのだそう。いったいそれは――?
「私が狙っているのは、新しく優待を発表した企業の株です。優待を新設すると、株価が一気に上がるケースが多いんです。最近だと、東証マザーズのディア・ライフ<3245>が、優待を発表したのですが、それまで株価が600円台だったのが、翌日はストップ高の740円になり、さらに次の日も一時895円のストップ高。結局900円を超えて少し落ち着いたようですネ。売りが1に対して買いが80ありましたから、なかなか買えませんでしたが、私は807円で買いました。優待の内容は、100株で年1回2000円のクオカードがもらえるというもの。クオカードはやはり人気が高いですね。
ほかにも今春、魚喜<2683>という株が優待を発表したら、300円台だった株価が、一気に1000円近くまで上昇しました。優待の内容は、100株で年1回5000円相当の数の子セットがもらえるというもの。これにみんな飛びついたわけです。でも、実はこの魚喜という会社は、昔も数の子の優待をやっていたんです。つまり、優待を復活させたのですネ。株価も昔は2500円くらいあったのに、優待を取りやめてどんどん下がってしまった。ちなみに私は2000円くらいの時に買ってずっと持っています」
適時開示情報で、優待の新設情報をチェック!
優待ひとつで株価は大きく変わる――。新たに銘柄を狙っている人は、“優待新設”をキーワードにするのもひとつの手です。「優待族のなかには、“適時開示情報”をチェックしている人も多いと思います。ここで優待の新設や変更が分かる。それ次第で株価も大きく動きますからネ。私も、できるだけ優待新設発表直後に買いたいと思っているので毎晩見ていますヨ。だいたい年間80~100くらいの新設があります。ただし、なかには、つまんないものもあるのは確か。例えば、リコーが優待を新設したというから内容をみたら、カレンダーをくれるというものでした。でもカレンダーもらったところでねえ……。案の定、株価もほとんど変わりませんでした。こういうしょうもない優待では上がらないけれど、クオカードとか良いモノをくれるような優待なら、大抵株価が大きく上がります」
また、最近では、自身のアプリを発表したディー・エヌ・エー<2432>の銘柄もゲット。
「今年に入って私のアプリを作りたいと話があったので、会社にも興味を持ちました。ここの優待は、横浜DeNAベイスターズが横浜スタジアムで主催するプロ野球観戦。内野指定席が年間1枚もらえます。本当は、今年に入ってすぐ買おうとしたのですが、2200円と高かったので、様子見をしていて、5月に1300円になった時に買いました。アプリは無料で楽しめるようなので、興味がある人はやってみてくださいネ」
※株価、利回り等は取材時のものです
★次回は桐谷さんが注目するREITの優待です
桐谷 広人さんプロフィール
1949年広島県出身、将棋棋士・投資家。日本テレビ系のバラエティ番組『月曜から夜ふかし』で現金を使わず、株主優待のみで生活をする姿が話題になった。現在はテレビ、雑誌、書籍などで幅広く活躍し『桐谷さんの株主優待生活』など著書多数。
取材・文/西尾英子 撮影/松本英明