注文住宅/家づくり物語 実例を通して

家を建てる喜びを実感!上棟工事の実況レポート

両親宅の新築を連載化したコラムシリーズの第9回目。今回は上棟工事の実況レポートです。現場の作業風景を見ていて、柱と梁を主要構造材として建物を建築する「木造軸組み工法」の基本的な仕組みを勉強することができました。目の前で建物が建ち上がっていく光景は、その場に立ち会わないと分からない感動を秘めていました。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド


2009年6月に長期優良住宅普及促進法が誕生してから丸5年。法律の施行以来、いまだ一戸建て住宅に認定戸数は偏在しているものの、非認定住宅と比較して平均2割程度の建設コストアップ(国土交通省の試算)を負担してまでも、今では年間10万戸超の長期優良住宅が誕生するようになりました(下表参照)。長期間にわたって使用可能な良質な住宅ストックの形成に向け、当該認定制度が受け入れられ始めている証左といえるでしょう。

長期優良住宅の認定戸数の推移

 

実は、わが家も新築に当たり、当初は長期優良住宅を検討しました。築30年程度で市場価値がゼロ同然になるような建物にはしたくないという思いがあったからです。安かろう悪かろうといった“安ぶしん”な住宅は建てたくありません。長期耐用にふさわしい骨太住宅が、理想として私の頭の中に描かれていました。

敷地の写真

建ぺい率が40%しかなく、長期優良住宅の認定要件を満たせない。

しかし、用途地域が第一種低層住居専用地域のため建ぺい率が40%に制限されてしまい、1階の床面積は38平方メートル弱しか確保できませんでした。そのため、長期優良住宅の認定基準(1階の床面積が40平方メートル以上)を満たすことができず、残念ながら骨太住宅の実現には至りませんでした。

ただ、今回の注文住宅の目的は腰痛に苦しむ母親が快適に過ごせるマイホームを手に入れることです。高齢者仕様が最優先であり、高耐久住宅の建築は副次的な要素に過ぎません。

また、長期優良住宅では引き渡し後、建物の定期的な点検・補修に関する維持管理の履歴を蓄積することが所有者に義務付けられています。こうした作業は後期高齢者である両親にとって大きな負担となり、かえって病状を悪化させかねません。そう考えると無理に長期優良住宅にしなくてよかったと、今では感じています。すべて“結果オーライ”という結論に至りました。

さて、今回で第9回目となる高齢者仕様住宅の新築連載シリーズ。本稿では両親宅の上棟工事をご紹介します。一体どのような工事が行なわれたのか、その工程を1つずつ見ていくことにしましょう。

大引き・根太・床束の3重構造により、強固な1階の床面が出来上がる 

床組み

1階の床組みの様子

わが家の上棟工事は新年(2014年)1月15日から始まりました。現場には工場でプレカットされた建材がすでに搬入されており、厳冬のなか、4人の職人さんが手際よく組み立て作業を行なっていきました。

まず初めが土台の敷き込みです。完成した基礎の立ち上げ部分に土台を敷き込み、アンカーボルトで緊結していきます。その際、基礎部分と木製の土台の間にはゴム製の「基礎パッキン」を緩衝材として挟み込み、基礎と土台が直接、触れないようにしていました。

床束の写真

「大引き」を支えるべく、「床束」という鋼製の支柱を要所に施工する。

続いて、1階の床組み作業に移りましたが、ここでも強固な床面を施工するための技法が見られました。まずは1階の床を支えるための横架材である「大引き」を土台の間に一定間隔で施工し、続いて、今度は「大引き」に直交するように「根太(ねだ)」と呼ばれる角材を等間隔で敷き詰めていきました。広い1階の床面全体を土台だけで支えるには無理があるため、「大引き」と「根太」を交差させて網の目状の床下地を構成し、その上に構造用合板を敷設して1階床面を完成させていました。

ただ、技法はこれだけではありませんでした。土台の間に渡した「大引き」を支えるべく、「床束(ゆかづか)」という鋼製の支柱を要所に施工していました。垂直力に抗するための“つっかえ棒”としての役割が床束にはあります。これにより、ゆがみのない強固な床面が出来上がりました。

次ページでは柱建て、2階の床組み、さらに小屋組みについて、施工実例をご紹介します。

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