記憶術/記憶術の例

F判定だった私が東大に現役合格できた記憶法(2ページ目)

『ビリギャル』からさかのぼること30年前、学年ビリではなかったものの、担任の先生からは「絶対合格は無理」といわれた東京大学に半年間の勉強で現役合格を果たしました。しかも塾に行くどころか高3の10月まで新聞配達をしながらの受験勉強でした。そんな私が行っていた「勉強法」「記憶法」とはどんなものだったのでしょうか? 

宇都出 雅巳

執筆者:宇都出 雅巳

コーチング・マネジメントガイド


たくさん参考書・問題集を買えないことがプラス効果に

自転車で通学する風景

自転車通学の時間も勉強時間に

なぜ、「教科書を毎日読む」というのが効率的な勉強法、記憶法なのか?

ポイントは2つあります。

まず1つは、勉強する対象が1冊に絞られていたので、「大量の繰り返し」ができたからです。

あれこれ参考書や問題集を買って、それにも取り組んでいると、どうしても1冊あたりの繰り返し回数は減ります。1冊しかないわけですから、単純に繰り返し回数が増えたのです。

また、塾・予備校に行っていない分、学校が終わったらすぐに勉強できますから、朝に新聞配達していたとはいえ、実質的な勉強時間はかなりあり、それも繰り返し回数を増やすことに役立ったのです。

毎日繰り返し読んでいると、少しずつでも理解し、記憶していきます。理解・記憶している部分が増えると、読むスピードがどんどん速くなってきます。それがさらに繰り返しの回数を増やすという、いい循環になって、覚えるスピードにも加速がついていったのです。

2つめは、同じ本を毎日繰り返し読むことで、本をそのまま「まるごと」覚えられたからです。

「まるごと覚えられた」というのは、「このページの次はあのことが書いてあったなあ」とか、「あのページには地図があって、その下に○○の説明があった」というように、頭のなかで本を思い浮かべられるようになったということです。

「え? そんなことができるの?」と思うかもしれませんが、別に不思議でもなんでもありません。あなたも、毎日通っている駅やバス停までの道のりを思い浮かべることができるでしょう。それと同じです。

これも、1冊に絞って毎日読んでいるからこそ、できたことなのです。

気が付けば、新聞配達・通学時間も勉強時間に

頭の中に本を思い浮かべられるようになると、机に向かわずとも、手もとに教科書や参考書がなくても、いつでもどこでも勉強ができるようになります。

実際、私は新聞配達しているときも、学校へ自転車で通っているときも、世界史の教科書や日本史の参考書を思い出して勉強するようになっていきました。

そうなると繰り返しの回数がまたさらに増えます。また、手もとに本がない中で思い出そうとすることは、本当にわかっているか、覚えているかをチェックする格好のテストの機会になります。

このように、お金がないから仕方なく取った勉強法が、結果的にはとても効率的な勉強法、記憶法になっていたのです。

ただ当時、自分としてはこれが「勉強法」だとも気づいていませんでした。そのことに気づいたのは、それから15年以上も経ってからでした。

速読法や記憶術を学び、数多くの資格試験やビジネススクール受験でそれらを実践検証するなかで、改めて大学受験のときの勉強が、効率的な「勉強法」であり「記憶法」であることに気づいたのです。

今、私が”勉強本”でお伝えしている

● 速読法を活用して楽に「大量の繰り返し」ができる「高速大量回転法」
● 「本の形」を意識的に活用して記憶する「テキストまるごと記憶法」


は、大元をたどれば、この私の大学受験の体験に行き着くのです。

30年前に比べれば、大学受験の参考書、問題集の数も増え、勉強法も含め、試験勉強に関する情報は何十倍、何百倍にもなっています。

今は「教科書を毎日読む」なんていうシンプルで地道な勉強を続けるのは、難しい環境でしょう。

情報に振り回され、肝心の勉強がおろそかにならないためにも、30年前に私が行っていた勉強をぜひ参考にしてください。
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