何度見ても味わい深い英国ミステリーと叙述ミステリーの傑作
『裏切りのサーカス』(2011年度作品)東西冷戦下の英国で、英国諜報部内の二重スパイ(もぐら)探しをすることになる老スパイ、スマイリー(ゲイリー・オールドマン)を描いたジョン・ル・カレ原作の傑作サスペンス。
スパイゆえにみなさんコードネームがあり、名前とコードネームでけっこう混乱。また現在と過去が交錯するにもかかわらず、その変化に気付きにくく混乱。と、きわめて不親切な映画なのですが、色彩の美しさや静寂のサスペンス、そして「もぐらは誰?」という緊張感が最後まではりつめて気を抜けません。
で、この映画の2度見ポイントは、人物相関図。これを把握するのに苦労するため「裏切り者はどんな嘘をついていた?」などを2度目に確認と言う感じです。また時代を映し出す美術や衣装なども2度目に堪能! そう思わずにいられない、渋く美しいスパイ映画なのです。
監督:トーマス・アルフレッドソン 出演:ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、トム・ハーディ、トビー・ジョーンズ、マーク・ストロング、ベネディクト・カンバーバッチ、キアラン・ハインズほか
『アヒルと鴨のコインロッカー』(2006年度作品)
仙台に越してきた青年(濱田岳)はアパートの隣人の河崎(瑛太)から、同じアパートのひきこもりのブータン人に広辞苑をプレゼントしたいから、本屋を襲撃しようという無謀な話を持ち掛けられ協力することに……。
映画化不可能と言われた伊坂幸太郎のミステリー。原作は叙述トリックを使っているので文章では可能でも映像にするのは難しい作品なのです。しかし『アヒルと鴨のコインロッカー』は映画でも見事に騙してくれます。なぜ本屋を襲撃するのか、過去に隠された出来事にも注目です。特に凄いのは謎の鍵を握る瑛太!
そして真相がわかったあと、やはり「もう一回見たい」と思うはず。どこに伏線があり、どこで騙されたのか確認せずにいられないのですよ。これぞ、まさに二度見したい映画です!
監督:中村義洋 出演:濱田岳、瑛太、関めぐみ、田村圭生、関暁夫(ハローバイバイ)ほか
※ほかにもデヴィッド・リンチ監督作『マルホランド・ドライブ』(2度見てもわからなそうな気がしますが……)内田けんじ監督作『運命じゃない人』クリストファー・ノーラン監督作『メメント』デヴィッド・フィンチャー監督作『ファイト・クラブ』などなど2度見したい映画はあります。
現実世界で騙されると悔しいけど、映画で騙されるのはOK! 2度見したい映画は、復習するのもまた楽しいのです。