供給戸数は約2割減少 価格は前年同期比5.8%上昇
マンション着工戸数が大幅に減少
不動産経済研究所発表の首都圏マンション市場動向2014年上半期(1月~6月)によれば、2014年1月~6月の首都圏新築マンションの供給戸数は、19,394戸。前年同期比で20.2%の減少です。東京都区部が19.0%減。都下27.2%減、神奈川9.3%減、埼玉県35.6%減、千葉県20.3%減と首都圏全エリアで供給戸数が減少しています。
一方、価格は1戸当たり5,010万円で前年同期比5.8%アップ。平米単価は5.2%アップの70.7万円です。建物価格にかかる消費税引き上げの影響を考慮しても大きく価格が上昇しています。初月契約率の平均は、0.4ポイントダウンの78.4%。好不調の目安となる70%を大きく上回り、好調さを維持しています。2014年6月末時点の在庫は、3,718戸と2013年6月末時点の4,221戸を下回っており、依然として低水準です。
供給戸数の落ち込みは、消費税引き上げ後の4月以降が顕著。首都圏の2014年6月の新規発売戸数は、前年同月比28.3%減の3,503戸。対前年同月比では、5月が13.4%減、4月が39.6%減(ともに不動産経済研究所発表)です。
供給戸数減少の要因としてまず挙げられるのは、4月以降マンションの選別化が進み、好・不調のバラツキがあり供給戸数を絞る物件が目立ってきている点です。もう一つは、マンションの建築費の上昇による新築マンションの着工戸数の減少です。住宅着工統計(平成26年5月度)によれば、首都圏の平成26年1月-平成26年5月の分譲マンション着工戸数は、前年比-26.5%の23,933戸。4月以降の着工戸数の落ち込みが顕著で、4月-47.1%、5月-56.2%となっており特に5月は、埼玉(前年同月比-91.7%)、千葉(対前年同月比-81.0%)、神奈川(対前年同月比-89.5%)と郊外エリアの着工件数の落ち込みがさらに激しくなっています。
事業構造的に建築費の割合が高くなりがちな郊外エリアのマンションは、収支が合わないケースが増えてきていることが想定されます。また、マンションに比べ建築コストの上昇度合いの小さい戸建事業を選択するケースも地域によっては増えるかもしれません。
郊外エリアのマンションの売れ行きは、新築戸建との競合もあり、順調とも言い難い状況ですが、建築費の上昇が続くと今後供給戸数が大幅に減る可能性もあるのではないでしょうか。
次ページでは、好調物件から2014年の傾向を見てみましょう。