ベンチマークってなんだ?
投資信託のベンチマークの見方をチェック
アクティブファンドの場合、基本的にはベンチマークを上回る運用成績を目指した運用が行われます。
たとえば、東証株価指数をベンチマークとする日本株アクティブファンドの場合、ベンチマークが10%値上がりした時、その運用成績が10%を1%でも上回れば、良い運用が行われていると判断されます。また、ベンチマークが10%下落した時には、それよりも少しでも値下がり率を小さく抑えられたら、たとえ運用成績がマイナスでも、「よし」とされます。
このように、ベンチマークと比較して、ファンドの運用成績の良し悪しを判断することを「相対評価」と言います。
ただ、ベンチマークを上回るリターンを挙げているファンドが、長い目で見て優秀なのかという点には、ちょっと疑問があります。
たとえば、ベンチマークが10%上昇した時、基準価額が20%上昇したファンドがあるとしましょう。確かに、上昇局面におけるこの成績だけを見れば、確かにこのファンドは優秀かも知れません。
下落を抑えるのが運用者の腕の見せ所
しかし、問題はベンチマークが下落した時です。上昇局面で、ベンチマークを大きく上回る運用成績を上げたファンドのポートフォリオは、ベンチマークに比べて高いリスクを取っていると考えることができます。ということは、ベンチマークが下落した場合、その下落率を上回るマイナスリターンになる恐れがあります。問題は、下落率と同率の上昇率では、値下がり損をカバーできないということです。たとえば1万円の基準価額が5000円になったとしましょう。この場合の下落率は50%です。
では、この値下がり損をカバーするためには、50%の上昇率で良いのでしょうか。計算すると分かりますが、5000円の基準価額が50%値上がりしても、基準価額は7500円にしかなりません。50%の値下がり率をカバーするためには、100%の値上がり率が必要になるのです。つまり、値下がり損を運用努力でカバーするのは、並大抵ではない、ということです。
したがって、投資信託の運用成績をベンチマークと比較する際は、上昇局面での優劣ではなく、ベンチマークが下落した時、いかに基準価額の下落率を、ベンチマークよりも低く抑えられているかという点を重視するようにしましょう。下げに強いファンドこそが、本当に優秀なアクティブファンドなのです。