「心から」と「心より」言葉の意味に違いはある?
「心から御礼」と「心より御礼」などのように使われる、「から」と「より」ですが、この2つは違いがあるのでしょうか?
- 「~とのこと、心から御礼申し上げます」
- 「ご自愛のほど、心よりお祈り申し上げます」
「~から」は口語的、「~より」は文語的な表現
■「から」「より」両方使える例A「本日午前10時から会議を始めます」
B「本日午前10時より会議を始めます」
AとBは「10時から/10時より」と、「から」を「より」に換えることもでき、両方使うことができます。実際の使われ方としては、「10時から」のほうは、どちらかといえばやや話 し言葉的で、「10時より」のほうは、「日時:○月○日10時より」のように、文章的で手紙・文書などで用いられることが多く、改まった感じがするという 点で使い分けられることがあるでしょう。
ただし、その他の例を見てみますと、以下のような場合は、「から」と「より」どちらにも置き換えるということはできず、「より」しか使えないということもあります。その違いを見てみましょう。
比較する場合は「~より」が自然
■「より」しか使えない例C「論より証拠」
D「花より団子」
E「小野さんは、赤より青が好きだ」
CとDとEは、「論から証拠」「赤から青が好き」ということはできず、好きなのは赤よりも青というように、物事の比較を表していることがわかります。
不自然になったり誤解を招いたりしてしまう例とは?
このように、起点という意味では共通することがあっても、比較をする場合には、「より」を用いるほうが、次のような不自然さや誤解をまねくおそれもありません。■不自然になってしまう例
○「青は藍より出でて藍よりも青し」
×「青は藍から出でて藍からも青し」
「青は藍より」の部分は、青色の染料は藍(植物)からとるという意味で、意味上は「藍から」と言い換えることはできます。しかし、「藍よりも青し」の部分は、もともとの藍よりももっと青いということですから、こちらは、「藍からも青し」に置き換えることはできませんね。
■誤解をまねきやすい例
×「毎週土曜より日曜は、半額セールを行っています」
○「毎週土曜と日曜(の両日)は、半額セールを行っています」
○「毎週土曜から日曜(の間)は、半額セールを行っています」
×の例は、「土曜~日曜」の間は半額ということを言いたいのに、人によっては
「土曜より日曜のほうが安い、日曜日は半額なのだ」と解釈する人もあるかもしれません。そのような点に注意してうまく使い分けたいものですね。
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