筋肉の名称の覚え方
理学療法士にとって筋肉の勉強は日本人が日本語を学ぶのと同様です。これがわからないと何も始まらない。しっかり学びましょう。
今回紹介するのは体を使った筋肉の勉強法です。理学療法士を目指すのならば、解剖学、運動学、生理学という基礎学は重要であり、その知識は永続的に理学療法士として土台になるものです。さらに身体動作のスペシャリストとして、動作のモーター部となる筋肉の知識は必須と言えます。ただ、筋肉の数が多く、起始停止、支配神経、随節、作用と覚える項目の多さに苦労するのもこの筋肉の勉強の特徴といえるでしょう。
筋肉の覚え方には、手続き記憶+エピソード記憶を活用
これまで、「理学療法士の勉強法 意味記憶+エピソード記憶」や、「養成校での勉強法 手続き記憶+プライミング記憶」で、各記憶の特徴について御紹介してきました。その中でエピソード記憶を利用するのが、最も効果的ではありますが、ここに手続き記憶や意味記憶も加える事でより効果的に学習することができます。それでは実際の方法についてみていきましょう。上肢の筋肉は「関節の動きと髄節」から覚える
テーマとしては筋肉の勉強ではありますが、いきなり筋肉名や起始停止を学んでいくのではなく、関節の動きと随節の関係性から覚えていく方法になります。これには理由がありますので後述致します。なお、すべての関節の動きをここで網羅するのは困難ですので、四肢を中心に覚えやすい流れを抜粋し、ご提案させて頂きます。今回は上肢です。上肢は始めの3つの動作を1セット。次の5つの動作を1セット。合計8動作を行います。まずは1セット目の3つの動作を行って行きましょう。肩関節外転
肩関節外転の髄節はC5です。肩関節外転を「5」とつぶやいて行いましょう。
肘関節屈曲の髄節はC5、C6です。肩関節外転の後に肘関節屈曲を「5・6」とつぶやいて行いましょう。
肘関節伸展の髄節はC7です。肘関節屈曲の後に肘関節伸展を「7」とつぶやいて行いましょう。
ここまででそれぞれ三つの関節の動きに関わる筋肉の随節をざっくりと覚えます。数回繰り返せばあっさり覚えられるでしょう。それでは次のセット。5つの動作にいきます。
前腕回内・回外
前腕回内・回外の髄節はC6です。前腕回内・回外を「6・6」とつぶやいて行いましょう。
手関節背屈の髄節はC6です。前腕回内・回外のあとに拳を握った状態で背屈を「6」とつぶやいて行いましょう。
手指伸展の髄節はC7です。手関節背屈のあとに手指伸展を「7」とつぶやいて行いましょう。
手関節掌屈の髄節はC7です。手指伸展のあとに「7」とつぶやいて掌屈を行いましょう。
手指屈曲の髄節はC8です。手関節背屈のあとに手指屈曲を「8」とつぶやいて行いましょう。
ただし、これは各動作における髄節の広義の覚え方であり、より細かい各個別の筋単位になると残念ながらわずかに違ってきます。では、この勉強法は無駄なのか?というとそういうわけではありません。
筋肉は、理解しやすい方法から覚える
最初から細かく覚えられるのならそれに越した事はありません。しかし、そんなに器用な人は少ないと思います。そこで、まずは大まかに覚えるのです。いきなり自分で勉強のハードルを上げる必要はありません。少しずつ段階的に細かく覚えていくことで徐々に知識を広げていくのです。ちなみに筋肉の勉強法と言いながら、まず、関節の動きと髄節の関係性から入ったのは、ハードルを低くし、理解しやすいものから、理解しやすい方法を。という点を考慮した為です。
この方法は、動作による手続き記憶と、髄節という意味記憶、そして、どの髄節がどういった動きに作用するか?というエピソード記憶の融合で記憶の強化を図っています。また、これを読みながら実践するのもまたエピソード記憶になりますし、一人ではなく複数の人間でやった方がより効果的と言えるでしょう。
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