理学療法士/理学療法士になるための勉強法・養成校

養成校での勉強法 手続き記憶+プライミング記憶

あまり聞き慣れない名称の手続き記憶とプライミング記憶。実は勉強に効果的な影響を持っていたり、国家試験の際に余計な邪魔をしてしまう記憶だったりすることをご存知でしょうか?

野田 卓也

執筆者:野田 卓也

理学療法士試験ガイド

手続き記憶とプライミング記憶

KIOKU1

聞き覚えのない記憶。手続き記憶とプライミング記憶。知っているのと知らないのでは成果に大きな差が出ます。


前回は意味記憶とエピソード記憶についてご紹介しましたが、今回は手続き記憶とプライミング記憶についてご案内します。この二つの記憶は意味記憶やエピソード記憶に比べ、あまり耳にすることはないかと思います。

しかし、手続き記憶はエピソード記憶との関連付けによって、より記憶を強化する力がありますし、プライミング記憶は国家試験を解く際に大きな影響を与える記憶です。では、さっそく手続き記憶からみていきましょう。

動きを覚える!手続き記憶

手続き記憶は、一言で言うと「身体で学習する記憶」になります。例としては自転車の乗り方や水泳時の各種泳ぎ方、ボールの投げ方など。皆さん振り返ってみてください。自転車に初めて乗る時、どうだったでしょうか?ふらふら、グラグラしながら乗っていたのが、いつの間にか乗り方を意識しなくてもあっさり乗れるようになっていませんか?これが手続き記憶になります。ではこれを理学療法士の勉強に落とし込むにはどうしたらよいでしょうか?そこですぐに思いつくのが、MMTやROMに代表される評価法です。

評価法の国家試験正答率の高さにヒントはある

比較的、成績が芳しくない方でも、全ての実習を終えてから国家試験の過去問に挑んでみると評価法の問題の正答率は非常に高かったりします。これは実習を通じ、多くの評価法を実践していった為、評価法を頭だけでなく身体で覚えた成果といえます。

加えて言うなら、実習中に患者さんを評価した映像がエピソード記憶として蓄積されている要素もあります。「実習時に○○病院で○○さんの○○を評価した」まさにエピソード記憶です。この時系列の経験と身体学習の記憶は強い結びつきを持ちます。

「あの時、この手順でこうしたんだった!」国家試験の過去問を解いているとよくこんな記憶の想起が起きます。エピソード記憶+手続き記憶の強さをうまく応用すれば、評価法以外の勉強にも役立つ方法になるのではないでしょうか?

記憶の落とし穴。プライミング記憶とは?

聞き慣れない名称であるプライミング記憶。無意識の記憶とされていますが実際どういったものでしょうか。まず、下記の言葉を順番に読んでみましょう。

トラ・ライオン・ツキノマグワ・おおかみ・ハイエナ

どうでしょうか?一語だけ違う事に気付きましたか?気付けた方は一語一語を丁寧に読みとらえることが出来た方です。逆に読み飛ばすように読んでしまった方は、最初の流れから”すべて動物、それも肉食獣という括りである”という先入観で読んでしまった事から、間違いに気付かなかったと言えます。ちなみに答えは”おおかみ”が平仮名ということではありません。ツキノマグワって肉食獣はいませんよね?

この先入観の記憶は、事前に起きた事に著しく影響を受けるため、午前午後合計200問もある国家試験の最中では、5択をしっかり読み込まないとプライミング記憶により、選択肢を都合よく解釈してしまう事も起こるので注意が必要です。

過去問題をしていて間違った問題を見直すと文章をよく読めていなかった。なんてことはよく起こりがちです。瞬時の読み飛ばしで都合良く解釈しないように気をつける理由はこのプライミング記憶があるからなのです。

前回から長期記憶の種類についてご案内しましたが、次回はより具体的な勉強法を実例を交えてご紹介したいと思います。

 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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