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ニキビじゃない?ニキビと間違えやすい肌トラブル!判断と治療の方法

ニキビだと思って治療をしていてもなかなか治らないならば、ニキビじゃないかもしれません。意外と知られていない、ニキビの様な皮膚病について解説。まさにニキビ治療中、という方は必見!治りにくいニキビだと思っていた湿疹が実は、ニキビではないかも…。

吉田 貴子

執筆者:吉田 貴子

スキンケアガイド

ニキビじゃないけど、ニキビに似た湿疹の皮膚病があります!

ニキビじゃない?ニキビと間違えやすい肌トラブル!判断と治療の方法

ニキビと似ている湿疹・肌トラブルとは…?

これまでニキビについての基礎的なことを5回に渡りお話ししてきました。医学的には「ざ瘡」という病名がついていますが一般的には「ニキビ」と呼ばれ、ごくありふれた肌トラブルです。

ニキビで皮膚科を受診する人の数はCMなどによる啓蒙活動のおかげもあってか年々増えています。実際にクリニックを受診する多くの方が問診票で主訴を書く欄に「ニキビを治したい」とお書きになります。そのことからも出来ている発疹がニキビだと自覚していることが分かります。

そのほとんどは診察により確かに「ざ瘡」と診断されるのですが、時には違う診断をする場合があります。今回はそんな「ニキビに見えて、実はニキビではない皮膚病」についてお話ししたいと思います。
 
<目次>
 

ニキビってどんな物?

まずその前にニキビについておさらいしましょう。ニキビは毛穴にできる病気で、皮膚科学では「尋常性ざ瘡」、「膿疱性ざ瘡」、「集簇性ざ瘡」などと細かく分類されます。
原因はいずれも、1.皮脂分泌の亢進、2.毛穴の入口のつまり、3.毛穴の常在菌の増加、の3つが関与しています。
 

ニキビの原因菌とは?

ニキビの代表的な症状には、炎症のない「白ニキビ」、炎症があり赤みや痛みのある「赤ニキビ」、炎症が強く膿を持った「黄色ニキビ」の3タイプがあります。

このうち、「赤ニキビ」と「黄色ニキビ」は、毛穴の常在菌であるアクネ菌(Propionibacterium acnes、P.acnes)という細菌の増殖により毛穴が炎症を起こした状態です。この状態を毛包炎といいます。

ニキビは顔や胸元、背中に発症しやすく、特徴的な発疹が現れるので、私たち皮膚科医が診断するまでもなく、多くの人がそれを見ればニキビだと判断できるのです。

しかし稀に、ニキビとは異なる病気が紛れています。時にはそれがニキビと診断され、間違った治療をされているケースもあります。
次ページでは「ニキビに見えて、実はニキビではない皮膚病」について、紹介していきます。
 

ニキビじゃないのに間違えてしまう「発疹」の特徴

マラセチア毛包炎

胸元にできた発疹(クリックで拡大)

右の写真をご覧ください。20代女性、胸元に赤い発疹が多数できています。ところどころ黄色い膿を持ったような発疹もあります。自覚症状は痒みです。一見すると赤ニキビと黄色ニキビの混在のように見えます。

ここでまず注目すべき点は、痒みがあるということです。そしてもう一点、少し細かい話になりますが、ひとつひとつが半球状、つまり皮膚の面からぽこっと急に膨らんでいるということ。また、大きさは均一で表面に光沢があります。

 

ニキビ様の発疹、「マラセチア毛包炎」の可能性も考える

マラセチア毛包炎は、近年少しずつ認知されてきている皮膚病で、「ニキビの様に見えるがニキビではない」、「ニキビと間違えられる」とよく形容されます。

特徴はまず痛みではなく痒みがあること。必ずではありませんが、痒みがあることが多くそれにより診断する上でニキビではない確率が高くなります。

そして先に示した発疹の形も特筆すべき特徴だと思います。そして特徴の最後は、発疹の膨らみを実際に押してみると分かります。ニキビは、面皰(コメド)と呼ばれる皮脂の固まりが入っていて押すとそれが出てきます。一方、マラセチア毛包炎の発疹では押しても面皰らしきものは出てきません。これらを総合してこの病気だと診断することが出来るのですが、診断を確定するにはもう一手間、顕微鏡検査を行います。
 

ニキビにじゃないのに似ている発疹の原因は「真菌の一種」

ニキビの原因菌となるアクネ菌は細菌の一種だとお話ししました。一方、細菌以外の菌でも毛包炎を起こす菌があります。これが今回の主題の病名になっているマラセチア菌(Malassezia furfur)という菌です。微生物学上は真菌に属し、健康な皮膚にも常在菌として存在します。
 
マラセチア菌

マラセチア菌を染色し顕微鏡にて確認した画像

右の写真は、実際に顕微鏡で観察できるマラセチア菌の様子です。特殊な染色にて確認しやすくしています。

この菌は皮膚表面にも毛穴にも存在し、皮脂や汗の多い環境で繁殖します。皮脂の多い毛穴はアクネ菌が繁殖するのに格好の環境ですが、マラセチア菌にとっても繁殖しやすい環境となります。特にマラセチア菌においては、皮脂だけではなく発汗による多湿環境において繁殖しやすい傾向にあります。

 

マラセチア毛包炎の治療法は、ニキビよりシンプル

マラセチア毛包炎

マラセチア毛包炎の発疹(クリックで拡大)

それでは、いざマラセチア毛包炎と診断された際の治療法についてお話しします。まず第一に清潔にして乾燥した状態を保つこと。汗をよくかく人に発症しやすい傾向があります。そして、治療薬は抗真菌剤を使用します。抗真菌剤には大きく分けて2種類、内服薬と外用薬があります。

ガイドは通常、まず外用薬で様子をみますが、症状の強さや治療経過によっては内服薬の使用を検討します。治療を始めれば多くの場合、数週間か長くても数ヵ月で改善が見られます。

それに比べ、ニキビの治療はこのようにシンプルには済まない場合も多々あります。なぜならニキビは複数の原因が複雑に関与して発症していることが多いからです。ニキビ治療では様々な治療を組み合わせてはじめて改善が見られることも多く、原因や要因の多さが示唆されます。

マラセチア毛包炎は、しっかりと診断がされれば確実に治すことが可能です。しかし、ニキビと診断をされた中に埋もれてしまっていて、漫然とニキビ治療がなされているケースも少なからずあるのが現状です。

ニキビのガイドとしては、記事にすることで少しでも多くの方にこの病気の存在を知っていただければと思います。問診票に「マラセチア毛包炎の治療希望」とお書きになる方が増える日を期待して。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※個人の体質、また、誤った方法による実践に起因して肌荒れや不調を引き起こす場合があります。実践の際には、必ず自身の体質及び健康状態を十分に考慮し、正しい方法で行ってください。また、全ての方への有効性を保証するものではありません。

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