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『思い出のマーニー』とジブリの少女映画

ジブリの新作アニメ「思い出のマーニー」(2014年7月19日公開)は、傷つきやすいひとりの病弱な少女が心を開いて再生していく姿を描いた少女映画です。ヒロインの心の旅のお供をするのがマーニー。現実と幻想で描かれる世界は童心に戻らせてくれます。というわけで、今回は『思い出のマーニー』とジブリの少女映画をご紹介しましょう!

斎藤 香

執筆者:斎藤 香

映画ガイド

スタジオジブリは、宮崎駿監督が映画『風立ちぬ』を最後に引退宣言をしたので、「後継者は誰?」という声が多いのは事実。スタジオジブリのもうひとりの巨匠と言われる高畑勲監督が宮崎監督の後、ジブリの顔になるのかなと個人的には思っていたのですが、高畑監督はまた別世界を持っているような気がします。
宮崎作品のように大人も子供も取り込める世界観があって、なおかつ、監督独自の個性も見える監督はいないのか……いました! それが映画『思い出のマーニー』の米林宏昌監督です。この作品が少女映画として絶品でして。

というわけで、今回は『思い出のマーニー』を筆頭にジブリの少女映画をピックアップしたいと思います。

現実と幻想を見事にリンクさせた少女アニメの傑作!

『思い出のマーニー』(2014年7月19日公開)
『思い出のマーニー』

マーニーの声は有村架純さん!


海辺の小さな街に、引っ越してきた病弱の少女・杏奈。彼女は湿っ地屋敷と呼ばれる洋風のお屋敷に興味を抱きます。無人屋敷と思っていたそこで出会ったのは金髪の美少女マーニー。杏奈はマーニーとの時間を楽しみにするようになりますが、マーニーと出会ってから杏奈の身の回りには不思議な出来事が次々と起こるように……。
『思い出のマーニー』

マーニーは誰なのか?意外にも物語は謎めいています。

どこか懐かしさを感じる『思い出のマーニー』。それはこの原作がジョーン・G・ロビンソン著のイギリスの児童文学だからかもしれません。子供時代に海外の児童文学を読んで、まだ見ぬ外国に憧れを頂いた人ならわかるはず。そのときの気持ちを『思い出のマーニー』を見ると思い出すのです。美しいお屋敷、舞踏会、綺麗なドレス、かわいいマーニーのお部屋、幼い頃の憧れがギュっとつまったマーニーの世界に杏奈とともに染まってゆく……。その感覚が映画では現実と幻想の中で浮遊するように描かれてます。

『思い出のマーニー』

二人の友情の絆は堅いけれど、マーニーの存在は儚くて……。

マーニーは実在するのか? 彼女の日記の秘密とは? そして杏奈が養母に預けられた理由は? 現実と幻想を行ったり来たりしながら、杏奈を取り巻く世界の謎が紐解かれていく……。

米林監督は宮崎監督よりも少女寄りの繊細な感性をお持ちのようです。ゆえに『思い出のマーニー』は、乙女心を刺激する少女アニメの傑作になったのでしょう。

監督:米林宏昌 声の出演:高月彩良、有村架純、松嶋菜々子、寺島進、根岸季衣、森山良子ほか

>お次は米林監督のデビュー作とジブリの人気キャラクターが登場します。
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