LINEの使い方の注意点
怪我をするから包丁を一切使わせないのが現実的ではないように、LINEやスマートフォンを一切使わせないことは難しいと思います。親子でLINEから発生するいじめやその他の事件について話し合うことができ、その結果、子供自身が「使わない」と選択をするならよいのですが、なかなか難しいもの。そこで以下の3点については家庭で話し合うとよいでしょう。- 「LINE安心安全ガイド」を子供と一緒に確認する
- スマートフォンの使用時間を決める
- 親がLINEについて知ること
「LINE安心安全ガイド」では、知らない人と会わない、他人の悪口を言わない、わいせつな写真や投稿をしないなどといったマナーなどが紹介されています。これらについて親子で一緒に確認し、きちんと話し合うっ下さい。
スマートフォン使用時間については、親が線引きをしてあげて「ウチは親がうるさいから」とLINEにすぐ返事をできない子供同士での大義名分を作ってあげるとよいと思います。
また親がLINEについて知ろうとすることも大切です。LINEの知っておきたい特徴の1つとして、その会話はそのグループの外からは見えない、トーク履歴などを消すことができるなどの理由で「完全密室犯罪」が可能です。LINE側としては「通信の秘密」を理由にメッセージ内容にまでは介入しません。
いじめの兆候が見られたらスマートフォンを証拠として「子供がいじめられていることに気づいたら」の記事も参考に学校に相談をしてください。メッセージのやりとりを、デジタルカメラで撮影しておいて提出するのも一つの方法です。第三者のサービスで「いじめや犯罪の可能性がある」と親が閲覧するページに三段階に分かれてメッセージが届く監視システムを提供する会社も出てきました。こうしたサービスを利用するのも一案ですね。
時間の使い方について子供と話し合いましょう
先日、ある市町村の青少年指導センター補導員の集いで発表された内容によると、女子高校生の95%がスマートフォンを持ち、そのうち40%以上が一日に6時間もスマートフォンを閲覧するそうです。一日は24時間とすべての人に平等に与えられています。できるならば、時間の使い方について夏休みを前に子供を話してみてください。
その際に「マンガで読むティーンのための時間の使い方徹底攻略―今しかない時間を有効に使おう」(フランクリンコヴィー著)などは非常に参考になります。この本では、時間の使い方のマトリクスが紹介されていて、その中でも「緊急でないが重要なモノに注力することこそ、自分が真にやりたいと望むことに注力していると言える」と締めくくります。子供たちに、自分にとって「重要なこと」を考えさせる内容です。LINEで使う時間が、「緊急でもなく重要でもない」ことに気づいてもらうことにより、自発的にLINEに費やされる時間を考えてもらうこと、そして自分の人生で「真にやりたいこと=目標」について考えてもらうきっかけになると思います。
この本は時間に限った内容になっていますが、同じ著者の「7つの習慣」を小学校に取り入れて子供たちが非常に前向きになった事例が報告されています(参考:「7つの習慣小学校実践記」渡邊尚久著)。この本で紹介されている人間関係の結論は「WIN-WIN=自分にとっても相手にとっても良い関係づくりが重要」というものです。結局、LINEいじめといってもLINEというアプリケーションを使った特有のいじめが存在するわけではなく、いじめの構造はこれまでと同じです。予防は、日ごろの人間関係や生活習慣の見直し、点検、修正にあると私は思います。
そして、「LINEいじめ」は学校での人間関係がベースになっている以上、学校側にも解決をする義務は存在します(参考:文部科学省の最新のいじめの定義「個々の行為が『いじめ』に当たるか否かの判断は、表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする。『いじめ』とは、『当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。』とする。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。」)