絵本/絵本関連情報

山のブーランジェリ『ぎょうれつのできるパンやさん』

みんなが住んでいる「むしゃむしゃ村」からずっと離れた山奥に、ふっくらおじさんがパン屋を開きました。でもそんな遠くの方までお客さんは来てくれるのでしょうか? 立地条件最悪パン屋の心温まる繁盛記をお楽しみ下さい。

執筆者:大橋 悦子

ふっくらおじさんの「ふっくらパンや」本日開店

みんなが住んでいる「むしゃむしゃ村」から「ぱくぱく林」を超え、「もぐもぐ牧場」を横切ってやっと行かれる「ぐうぐう山」の山奥に、ふっくらおじさんがパン屋を開きました。でも、そんな山の中でお店を開いて大丈夫? その心配はごもっともです。おじさんだって本当はちょっぴり心配なのですから。さてさて、立地条件の悪すぎるこのパン屋さん、本当に行列のできるお店になったのでしょうか?

うまさの秘密は材料にあり!『ぎょうれつのできるパンやさん』

『ぎょうれつのできるパンやさん』の表紙画像

ここは真心こめて作ったパンが並ぶブーランジェリです

人里離れたぐうぐう山の山奥にオープンしたふっくらおじさんのパン屋さん。ぐうぐう山のおいしい空気と水と最高の小麦から作ったパンは、おじさん自慢の商品です。でも、いくらパンがおいしくてもこんな山奥までお客さんは来てくれるのでしょうか?

その心配が現実になって、お客さんの出足の悪さにがっかりするおじさんでしたが、やがてお店の外にはパンの香りに誘われて、食いしん坊な山の動物たちがたくさん来てくれました。おじさんは初めてのお客さんに大喜びです。おいしいパンを食べた動物たちは、お礼にと山の木の実をくれました。おじさんはその木の実を使って、早速新しいパンを焼きました。動物たちをかたどった新作メニューに動物たちも大喜びです。

やがて山のおいしいパン屋さんの噂は、もぐもぐ牧場からぱくぱく林へと広がって、たくさんの動物たちがパン屋さんを訪れました。彼らはパンのお礼にミルクや卵・果物などいろいろな食材をくれましたので、パン屋さんには次々と新作パンが並びます。

おいしいパンのイメージ画像

おいしいパンは一片で食べる者を幸せにします

でも、困ったことがありました。それは材料の小麦が少なくなってしまったこと。動物たちはお金を持っていないので代金を払うことができず、このままではおじさんは小麦を買うことができません。店じまいをも覚悟したおじさんに起死回生となる出来事が起こります。いったい何が起こったというのでしょう?

それは、動物たちのネットワークと口コミがもたらした信じられないような出来事で、「ふっくらパンや」さんを瞬く間に行列のできるお店にしてしまいます。このあたりの怒涛の展開はこの作品の大きな魅力になっていて、前半のほんわかムードとの緩急の差がとても面白いのです。

でも、この絵本の読み聞かせに関して1つだけアドバイスさせてください。それは、空腹時の読み聞かせには用心が必要ということ。丹念に描きこまれたパンの数々を見ていると、お腹がググウッとなってどうしようもなくパンが食べたくなるのです。

ただ仮にそうなっても慌てる必要はありません。絵本の最終ページには「ニワトリさんのたまごパン」の簡単レシピがのっていますので、ぐうぐう山のブーランジェリご自慢のパンの味をご家庭で楽しんでいただけます?! 読んで食べて、1冊で2度おいしいちょっとお得な絵本を心ゆくまでご賞味下さい。


【書籍DATA】
ふくざわゆみこ:作
価格:1404円
出版社:教育画劇
推奨年齢:4歳くらいから
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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