世界一周運賃など共通の商品も
各アライアンスは割安な世界一周運賃を設定。ビジネスクラスで世界周遊も夢じゃない!?。写真はANAの新しいビジネスクラスのシート
ネットワークやサービス面に加えて、アライアンスには整備面での協力、燃料や部品の共同調達によるコスト削減効果などさまざまな利点があり、各社の経営の柱のひとつとなっています。むろん、同じアライアンスに属していても、原則として各社は独立した経営を行っており、競合する路線ではライバル同士の関係にあります。ただ、景気の停滞や格安航空会社の攻勢など、大手航空会社を取り巻く環境が厳しさを増すなか、加盟会社同士がより深い提携関係を築き、経営コストを削減することで、勝ち残りを目指そうという動きが加速しています。
その背景にあるのは、世界的な規模で空の自由化=オープンスカイが進んでいること。オープンスカイとは、航空会社が路線や便数、運賃などを原則として自由に設定できるという、国と国との協定です(ただし空港の発着枠については、別途交渉が必要)。日本も例外ではなく、各国と順次オープンスカイの協定を締結中。米国との間でも協定締結で合意しており、2010年秋までに発効する見込みです。
こうした流れのなか、2010年、JALはアメリカン航空と、ANAはユナイテッド航空、コンチネンタル航空の3社合同で、太平洋線における独占禁止法の適用除外(ATI)を申請しました。今後、独占禁止法には抵触しないとのお墨付きを両国からもらったら、これらの航空会社は、あたかもひとつの航空会社のように共同で事業を展開することが可能になります。航空券の値段を共同で決めたり、スケジュールを互いに調整し合ったり、国内の営業所を一体化したり、また収入をお互いにプールして利益を分けたりすることもできるようになるそうです。
「JAL」「アメリカン」といったブランドはそのまま継続されますが、単なるアライアンスのメンバーとしての関係を超えた、重要な事業パートナーになるわけです。今後、アライアンスの各加盟会社の関係がどう変化していくのか、利用者への影響を含めて注目されます。