航空券/航空アライアンス

アライアンスとは(3ページ目)

世界には航空会社の大規模な提携グループが3つあります。「スターアライアンス」「ワンワールド」「スカイチーム」の各アライアンスです。世界の大手航空会社のほとんどが、これらのいずれかに加盟しています。航空会社を乗り継ぐとき、空港のターミナルやラウンジを利用するとき、そしてマイレージをためるときなど、海外旅行に欠かせない「アライアンス」の基礎知識を紹介します。

執筆者:中西 克吉

世界一周運賃など共通の商品も

各アライアンスは割安な世界一周運賃を設定。ビジネスクラスで世界周遊も夢じゃない!?。写真はANAの新しいビジネスクラスのシート。

各アライアンスは割安な世界一周運賃を設定。ビジネスクラスで世界周遊も夢じゃない!?。写真はANAの新しいビジネスクラスのシート

アライアンスには共通の運賃が豊富に揃います。代表的なのは、加盟会社のフライトを乗り継いでぐるりと地球をめぐる世界一周運賃。料金と利用条件はアライアンスにより異なりますが、例えば「スターアライアンス」で日本発のエコノミークラスを利用する場合は30万円台から。またビジネスクラス利用は56万円台から、ファーストクラス利用でも90万円台から(それぞれ諸税等が別途必要)と上級クラスでも比較的リーズナブルです。有効期間は1年間、日程の変更は無料、ルートの変更も1万円程度でできるなど、使いやすい点も魅力です。

ネットワークやサービス面に加えて、アライアンスには整備面での協力、燃料や部品の共同調達によるコスト削減効果などさまざまな利点があり、各社の経営の柱のひとつとなっています。むろん、同じアライアンスに属していても、原則として各社は独立した経営を行っており、競合する路線ではライバル同士の関係にあります。ただ、景気の停滞や格安航空会社の攻勢など、大手航空会社を取り巻く環境が厳しさを増すなか、加盟会社同士がより深い提携関係を築き、経営コストを削減することで、勝ち残りを目指そうという動きが加速しています。

その背景にあるのは、世界的な規模で空の自由化=オープンスカイが進んでいること。オープンスカイとは、航空会社が路線や便数、運賃などを原則として自由に設定できるという、国と国との協定です(ただし空港の発着枠については、別途交渉が必要)。日本も例外ではなく、各国と順次オープンスカイの協定を締結中。米国との間でも協定締結で合意しており、2010年秋までに発効する見込みです。

こうした流れのなか、2010年、JALはアメリカン航空と、ANAはユナイテッド航空、コンチネンタル航空の3社合同で、太平洋線における独占禁止法の適用除外(ATI)を申請しました。今後、独占禁止法には抵触しないとのお墨付きを両国からもらったら、これらの航空会社は、あたかもひとつの航空会社のように共同で事業を展開することが可能になります。航空券の値段を共同で決めたり、スケジュールを互いに調整し合ったり、国内の営業所を一体化したり、また収入をお互いにプールして利益を分けたりすることもできるようになるそうです。

「JAL」「アメリカン」といったブランドはそのまま継続されますが、単なるアライアンスのメンバーとしての関係を超えた、重要な事業パートナーになるわけです。今後、アライアンスの各加盟会社の関係がどう変化していくのか、利用者への影響を含めて注目されます。

「アライアンス」がブランドに

最後に付け加えたいのは、今やアライアンスに加盟していること自体がブランドになりつつあること。希望すれば加盟できるわけではなく、各アライアンスのメンバーになるには、安全運航の基準をはじめ、細かく定められたサービス項目のそれぞれにおいて一定の水準に達していることが必要です。加盟後も各社は本部機能から、サービスのクオリティが維持できているかなどを定期的にチェックされるそうです。言い換えれば、アライアンスのメンバーであることは、サービス品質が一定の水準に保たれている証でもあるわけです。そういった視点で各アライアンスを見ると、また違う発見があるかもしれません。
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