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住宅ローン金利競争の舞台は固定から変動へ

4月に消費税が5%から8%へ引き上げられたことから、住宅を購入する人が大幅に減少しているようです。マンションの契約率は高めではありますが、販売業者が物件の供給を絞っていることが背景です。住宅を購入する人が減少した結果、住宅ローンの銀行間の競争に再び拍車がかかっているようです。2014年7月の融資金利の状況を見てみることにしましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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長期金利は1年2月振りの低水準

2014年5月下旬から日本株の上昇基調が続いたにもかかわらず、長期金利は上昇どころか低下にしています。約半年間0.6%前後で膠着していた長期金利は、機関投資家などがしびれを切らして国債の購入に動いたことから、6月27日には0.555%と約1年2ヵ月振りの低水準を付けています。

世界的に「株価は上昇すれども金利は上昇せず」という流れが、わが国にも影響しているのかもしれませんが、日本銀行の異次元緩和により長期金利の膠着状態は続くと予測した機関投資家などが国債購入に踏み切ったのがその背景のようです。

銀行などは融資が伸び悩んでいる一方、余裕資金が積み上がっている状況であることから、少しでも利回りを確保するために国債の購入へと舵を切っているようです。長期金利の水準は、2014年の春先よりもやや低下した状態が続く可能性が高いと言えそうです。

長期金利の低下は、預貯金や個人向け国債などの安全確実な資金の運用には向かい風となりますが、マイホームを購入して新規に住宅ローンを組む、あるいは住宅ローンの借り換えを考えている人にはフォローの風となるはずです。長期金利が上昇する材料に乏しいことから、季節は夏本番に向かっていますが、住宅ローンには心地好い風が少なくとも夏の間は吹き続けそうです。

フラット35の金利は先月と変わらず

長期金利が約1年2ヵ月振りの低水準となったのは、ちょうど7月の住宅ローン金利を決める時期にあたったことから、フラット35は史上最低金利更新の期待が高まりました。しかしながら、2014年7月の融資実行金利は同年6月の融資実行金利と同じ。一部、適用金利を引き下げた金融機関もあるようですが、最も低い金利は変わっていません。

融資額90%以下の2014年7月の融資実行金利は、返済期間が20年以下は1.45%、返済期間21年以上が1.73%となっています。ここ数ヵ月のフラット35の金利を見ていると、やや市場金利を逸脱した動き、言い換えれば戦略的に適用金利が決められている気がしてなりません。

市場金利に連動しなくなりつつあることから、フラット35の金利は今後も若干の低下はあると思われますが、低下したとしても小数点以下第2位の数字が下がる程度でしょう。先月も述べましたが、フラット35はほぼボトム圏まで低下したと考えてよい気がしてなりません。

変動金利の競争が激しくなってきた?

フラット35の融資実行金利は2014年6月と横ばいでしたが、民間金融機関の同年7月の融資実行金利は、固定金利期間が7年以上のものを中心に0.05%~0.10%程度6月より引き下げられています。

やや沈静化していた固定金利選択型などの優遇は、一部の銀行で固定金利選択型よりも変動金利型に注力しているようです。メガバンクの変動金利の最優遇は0.775%、三井住友銀行は0.725%などというように、0.7%台が下限となっていますが、ソニー銀行は0.599%、イオン銀行は0.57%となっているのです。

0.5%台は一部の銀行に過ぎませんが、融資がなかなか増えない銀行にとって住宅ローンは最後の砦と言っても過言ではありません。他の銀行が追随してくるのか注目しましょう。

また三井住友信託銀行は、固定金利選択型でも当初5年を0.50%、10年を1.10%と破格の優遇金利を提供しています。
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