住宅購入の費用・税金/住宅購入時の消費税

消費税を国際比較!日本の住宅は「耐久消費財」だった

消費税率が8%に引き上げられて3カ月が過ぎましたが、2015年10月には10%まで引き上げられる予定です。ただ、諸外国の消費税率はもっと高く、救済策として住宅取得に対しては「軽減税率」が適用されています。他方、米ニューヨーク州やイギリスは住宅取得者の消費税がゼロ負担になっており、国によって住宅税制は様々です。こうして住宅税制を国際比較してみると、日本の住宅が「耐久消費財」扱いされていることが分かります。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド

国会議事堂

2015年10月の消費税率10%引き上げに向け、すでにカウントダウンが始まっている。

「わが国の景気は消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている。(中略)先行きのわが国経済は消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていくとみられる」――

これは日本銀行が公表した今年6月の金融経済月報に記載された景気の基調判断を一部抜粋したものです。住宅投資については、「このところ駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には雇用・所得環境が改善するもとで底堅く推移している」と総括しています。4月1日の消費税率引き上げから3カ月が過ぎましたが、ふたを開けてみると需要の先食いによる反動減は「予想の範囲内」という中央銀行の評価です。

22日に会期末を迎えた今国会を振り返り、6月24日に行われた記者会見で、安倍総理は「この国会は、まさしく好循環実現国会でした」と成果を強調しました。「この春、多くの企業で給料がアップしました。連合の調査によると平均で2%を超える賃上げ、過去10年で最高です。(中略)この夏のボーナスは経団連の調査では過去30年間で最高の伸びが見込まれます。有効求人倍率は17カ月連続で上昇し、7年9カ月ぶりの高水準にあります」

私ガイドには“自画自賛”にしか聞こえないのですが、円高修正(円安の進行)と株価上昇により大手を中心とした国内企業の業績は大きく改善しました。アベノミクスに一定の景気押し上げ効果があったのは事実です。

軽減税率の導入と引き換えに、政府は消費税率10%への引き上げを画策 

このように政府が強気のなか、次に気になるのが来年(2015年)10月に予定されている消費税率10%への引き上げです。2014年度の与党税制改正大綱には、生活必需品の消費税率を低く抑える軽減税率の導入時期は「消費税率10%時」と明記されています。そして、対象品目や具体的な暫定財源など詳細な内容を検討し、2014年12月までに結論を出す方向で、現在、調整しています。軽減税率の導入と引き換えに、消費税率10%への引き上げを国民に理解してもらおうという魂胆(こんたん)です。

ただ、住宅・不動産業界は住宅に対する軽減税率の導入を強く望んでいます。ただでさえ人口減少や住宅の飽和状態による家余りで市場の先行きが見通せないなか、さらなる増税によって消費者の購入マインドが冷え、販売不振・業績低迷に追い込まれてはたまりません。たとえ他人任せと言われようとも、軽減税率の導入によって10%引き上げ時の反動減を最小限に抑えたいと業界関係者は思っています。

そこで、参考になるのが海外の軽減税率の実例です。住宅に対する軽減税率は、いくつもの国で導入されています。なかには、そもそも住宅消費税が非課税という国もあり、「ところ変われば、住宅税制も大きく変わる」といえます。

そこで、次ページでは主要国の住宅消費税の内容を紹介します。国際比較してみましょう。

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