住宅購入の費用・税金/住宅購入時の消費税

消費税を国際比較!日本の住宅は「耐久消費財」だった(2ページ目)

消費税率が8%に引き上げられて3カ月が過ぎましたが、2015年10月には10%まで引き上げられる予定です。ただ、諸外国の消費税率はもっと高く、救済策として住宅取得に対しては「軽減税率」が適用されています。他方、米ニューヨーク州やイギリスは住宅取得者の消費税がゼロ負担になっており、国によって住宅税制は様々です。こうして住宅税制を国際比較してみると、日本の住宅が「耐久消費財」扱いされていることが分かります。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド


米ニューヨーク州とイギリスは、住宅消費税の負担は「ゼロ」 

ニューヨークのイメージ写真

米ニューヨーク州では住宅に対して消費税は課税されない。

2013年3月、住宅生産団体連合会(住団連)が「欧米諸国における住宅消費課税制度の概要と背景 ~負担軽減措置の比較調査~」というレポートを公表しました。海外の住宅税制を国際比較することで、日本が軽減税率導入を議論する際の資料として役立つことを期待しています。

以下、このレポートを参考に住宅消費税の国際比較をしていきましょう。なお、2013年3月時点での税率のため、日本の消費税率は5%と表記されています。

国際比較その1

 

国際比較その2

 

冒頭のアメリカ(ニューヨーク州の場合)の課税標準(日本の消費税率に相当)は8.875%ですが、住宅を建築しても購入しても消費税は非課税のため住宅取得者には課税されません。羨ましいことに、課税負担はゼロになります。

次に、イギリスの課税標準は20.0%なのに対し、アメリカ同様、住宅を新築しても新築住宅を購入しても、住宅の取得者に対する課税負担はゼロです。「0%税率課税」とは消費税は課税するものの、税率がゼロのため、結果、住宅取得者の消費税負担がなくなる仕組みです。「非課税」と「0%税率課税」は、「仕入れ税額の全額が控除」=「仕入れ時に負担した消費税が還付される」かどうかの違いがあるのですが、話が複雑になるので説明は省略します。最終消費者である住宅取得者が消費税負担なして住宅を手にできる点は非課税と何ら変わりありません。

ドイツは変則的です。注文建築によって新築した建物に対してのみ19.0%%が課税されます。同国では分譲住宅の取り引きが主流であり、注文住宅は高級住宅に限られるため、高額所得者からは税金を徴収しようという発想が根底にあります。庶民のための一般的な分譲住宅の売買は、新築・中古を問わず、すべて非課税扱いです。

日本では住宅は「耐久消費財」 だから建物に消費税が課税される 

海外の住宅イメージ写真

日本では建物に消費税が課税される。つまり、「建物」=「消費財」を意味する。

これに対し、フランスでは築5年以内の最初の住宅売買あるいは新築工事には標準税率と同じ19.6%が課税されます。しかし、築5年超の中古住宅は非課税となり、また、社会住宅(低所得者向けの公共住宅)には7.0%の軽減税率が適用されます。

イタリアでは2軒目の住宅取得あるいは1軒目でも豪邸を取得する場合は10.0%の税率が適用されますが、一般的な新築住宅の売買や新築工事には4.0%の特別軽減税率が適用されます。同国では一定の年齢以上の多くが持ち家に住み、2軒目の住宅を持つ世帯も多いという国内事情が税制に反映されています。

しかし、どうして国々によって消費税の課税方法は様々なのか?―― とても気になるところです。

たとえば、アメリカ人にとってマイホームの取得はアメリカンドリームであり、米国経済にとっては経済発展のための重要な成長エンジン(内需の柱)になります。課税負担を引き下げることで、誰もが持ち家に住めるようにしようと考えています。加えて、そもそも住宅は資産であり、一般消費財ではないため、消費財ではないのだから消費税は課税しないという発想が根底にあります。

一方、日本では土地は非課税ですが、建物には消費税が課されます。このことは「建物に消費税を課税する」=「住宅は耐久消費財」という考え方が払拭されていないことを裏付けます。国策として「ストック重視社会(中古住宅の資産価値の向上)」を掲げておきながら、住宅税制面では「住宅」=「消費財」という考え方がなくなっていないわけです。日本は世界3位の経済大国でありながら、住宅に関しては“発展途上国”の域を出ないのです。

住宅消費税を国際比較することで、こうした各国の違いを知るきっかけになります。日本では2015年10月に消費税率が10%に引き上げられるのは間違いないでしょう。住宅が軽減税率の対象に含まれるのか、今後の動向が気になります。

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